兵庫県知事、元幹部職員の個人情報漏洩疑惑への対応に批判高まる

兵庫県斎藤元彦知事を告発した元幹部職員の個人情報漏洩疑惑をめぐり、県の対応の遅さに批判の声が上がっています。漏洩したとされる情報はSNSで拡散されており、地方公務員法違反の可能性も指摘されています。県議会の一部からは刑事告発を求める声も上がっていますが、斎藤知事はデータの真偽を疑問視し、第三者委員会による調査を優先する姿勢を見せています。

漏洩疑惑の概要と斎藤知事の対応

漏洩したのは、県西播磨県民局長だった男性の公用パソコンに保存されていたとされるデータです。2024年11月の知事選で斎藤知事を応援した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、このデータをSNSで公開しました。

兵庫県庁舎兵庫県庁舎

斎藤知事はデータの真偽を確かめる必要があるとして、弁護士による第三者委員会を設置し、調査を進める方針です。しかし、情報管理体制の見直しについては「指摘があれば対応する」と述べるにとどまっており、積極的な姿勢は見られません。

疑惑の発覚からこれまでの経緯

問題の公用パソコンは、2024年3月に斎藤知事の指示で告発文書の作成者を調査していた片山安孝副知事(当時)が男性を聴取した際に回収されたものです。

6月に設置された県議会調査特別委員会(百条委員会)では、男性側がプライバシーへの配慮を求めたため、告発とは無関係な私的情報は調査対象外とされました。

しかし、7月には斎藤知事の側近である井ノ本知明総務部長(当時)が県職員や県議に私的情報を見せて回っていたと週刊誌が報道。斎藤知事は井ノ本氏らに確認したものの否定されたと説明し、第三者による調査を検討するとしていました。

10月の百条委員会で井ノ本氏は、男性の私的情報を印刷して所持していたことを認めましたが、漏洩については証言を拒否。しかし、12月の県議会による聞き取り調査では、井ノ本氏から私的情報を見せられたという証言が複数得られています。

県議会からの批判と今後の展望

12月25日に行われた百条委員会の斎藤知事への証人尋問では、情報漏洩問題も取り上げられました。疑惑の発覚から半年近くが経過しているにもかかわらず、県が刑事告発に踏み切らないことに対し、県議からは「県民の個人情報を預かる知事の責務として、速やかに刑事告発すべきだ」との批判が噴出しました。

兵庫県議会兵庫県議会

しかし、斎藤知事は「第三者委員会で適切に対応したい」と繰り返すのみで、具体的な対応策を示していません。今後の第三者委員会の調査結果と県の対応が注目されます。 情報セキュリティの専門家、田中一郎氏(仮名)は、「公務員による個人情報の取り扱いには、厳格なルールが求められます。今回の件は、組織としての情報管理体制の不備を露呈したと言えるでしょう。」と指摘しています。