円安日本と高物価ニューヨーク、観光客殺到の理由は? 現地体験で紐解く魅力

日本への観光客が急増しています。2024年10月には年間3000万人を突破し、過去最速のペースを記録。歴史的な円安もその要因の一つと言えるでしょう。一方、ニューヨークもコロナ禍からの回復を見せ、観光客数は増加傾向にあります。円安で「何でも安い」日本と、ホテルも外食も高額なニューヨーク。両都市に観光客が押し寄せる理由は何でしょうか? 2024年12月にニューヨークを訪問した筆者が、現地体験を通してその魅力を紐解きます。

ニューヨークの最新スポットに見る観光戦略

ニューヨークでは、常に新しいスポットが登場し、人々を魅了し続けています。活気に満ちたロックフェラーセンターや5番街は、夜になると特に人々でごった返し、大通りは車で渋滞しています。

ニューヨークのタイムズスクエアの夜景。多くの人で賑わっている。ニューヨークのタイムズスクエアの夜景。多くの人で賑わっている。

2021年にオープンしたワン・ヴァンダービルトの展望台「サミット」は、ガラスと鏡に囲まれた空間が特徴で、まるで空中に浮かんでいるような感覚を味わえます。写真映えスポットとしても人気が高く、数週間前にチケットを購入しましたが、日没時間帯は既に完売でした。入場料に加え、割増料金や手数料など、合計67.51ドル(約1万500円)を支払いました。空港並みの保安検査と長い列を待つこと30分、ようやく展望台へ。眺望だけでなく、テーマパークのようなエンターテイメント性も人気の理由でしょう。

再開発が進むハドソン・ヤードの魅力

マンハッタンで最後の大規模開発と言われるハドソン・ヤードも注目エリアです。廃線の高架鉄道跡を公園化した「ハイライン」がハドソン・ヤードまで延伸され、モニュメント「ベッセル」やオフィスビル、ショッピングモール、高級ホテルなどが次々と開業しています。三井不動産グループが手掛けるこの再開発事業は、ニューヨークの新たな魅力を生み出しています。今後の発展にも期待が膨らみます。

ニューヨークと日本の観光戦略の違い

ニューヨークの観光戦略は、常に新しい体験を提供することに重点を置いています。一方、日本は円安を背景に、価格面での魅力を打ち出しています。旅行者のニーズは多様化しており、それぞれの都市が独自の強みを活かした戦略を展開していると言えるでしょう。「観光経済新聞」の山田編集長(仮名)は、「価格競争だけでなく、独自の体験価値を提供することが、持続的な観光客誘致につながる」と指摘しています。

まとめ:体験価値が観光の未来を拓く

円安の日本と高物価のニューヨーク。どちらも多くの観光客を惹きつけていますが、その理由は異なります。日本は価格の魅力、ニューヨークは最新の体験価値を提供することで、それぞれ独自のポジションを築いています。今後の観光産業においては、価格だけでなく、いかに特別な体験を提供できるかが重要になるでしょう。