チェジュ航空で、新型コロナウイルス感染症の流行後に熟練整備士が多数退職し、深刻な人員不足と劣悪な勤務環境に陥っているという内部告発が話題になっています。jp24h.comでは、この問題の真相に迫ります。
内部告発の内容とは?
5月5日、会社員向け匿名掲示板「Blind」に「私はチェジュ航空の整備士でした」という衝撃的なタイトルの投稿が掲載されました。投稿主を名乗るA氏は、チェジュ航空に長年勤務した航空整備士であると自己紹介し、同社の整備士を取り巻く劣悪な労働環境と、声を上げにくい企業体質を告発しました。
チェジュ航空の旅客機
A氏によると、整備費用削減を名目に整備施設がまともに整備されておらず、駐機場(ランプ)で整備作業を強いられているとのこと。さらに、整備士は13~14時間にも及ぶ長時間労働を、食事や休憩時間もなく強いられていると訴えました。新型コロナの流行以降、熟練整備士の退職が相次ぎ、深刻な人員不足に陥った結果、大小さまざまな欠陥が増加しているとも主張しています。
チェジュ航空側の反応
こうした告発に対し、チェジュ航空側は「悪意のある書き込みだ」と反論しています。同社関係者は、新型コロナ流行期には一時的に国土交通部の勧告人員数を下回る整備士不足の状態にあったものの、その後は回復したと説明。国土交通部の勧告では1機あたり整備士12人が必要とされていますが、一時11.2人まで減少したものの、現在は12.7人にまで増加していると強調しました。また、勤務環境は決して劣悪ではないとし、個人的な理由で退職した人物による悪意のある書き込みではないかと推測しています。実際、この告発文は翌日には削除されています。
整備遅延の実態
A氏の告発を裏付けるかのように、チェジュ航空の整備遅延の多さが指摘されています。国会国土交通委員会所属の李蓮喜(イ・ヨンヒ)共に民主党議員室が国土交通部から入手した資料「2020年~24年上半期航空会社遅延現況」によると、チェジュ航空は2024年上半期に運航した5万2883便のうち536便(国内線344便、国際線192便)で整備を理由とした遅延が発生しました。これは、同時期に運航した国内航空会社10社の中で最多であり、運航便数で勝る大韓航空(422便)をも上回っています。他の格安航空会社(LCC)であるティーウェイ航空(315便)、ジンエアー(243便)、エアプサン(227便)と比較しても、その多さは際立っています。
整備士数と遅延率の推移
チェジュ航空の2024年上半期の整備遅延率は1.01%と、全体平均(0.64%)を0.37ポイント上回っています。2023年にも整備を理由とした遅延は943件に上りました。新型コロナウイルス感染症が流行した2020年、2021年、2022年の整備遅延件数はそれぞれ63件、74件、43件で、遅延率は0.05~0.12%と、同期間の全体航空会社平均(0.14~0.16%)を下回っていました。しかし、2023年以降、遅延率は急激に上昇しています。航空情報ポータルシステムによると、2023年の航空会社別整備士数は、大韓航空2661人、アシアナ航空1302人、チェジュ航空469人、ティーウェイ航空344人、ジンエアー272人、エアプサン181人となっています。
真相究明が待たれる
内部告発の内容と整備遅延のデータは、チェジュ航空の整備体制に疑問を投げかけています。航空会社の安全運航は乗客の生命に直結する重要な問題です。jp24h.comは、今後ともこの問題の真相究明に努めていきます。