マクドナルドがDE&I(多様性・公平性・包摂性)に関する数値目標を廃止すると発表し、波紋が広がっています。本記事では、この決定の背景、米国企業におけるDE&I縮小の現状、そして日本企業への影響について解説します。
マクドナルドのDE&I目標廃止:その背景とは?
マクドナルドは、2025年までに管理職における女性比率45%、人種的・性的少数者比率30%といった数値目標を設定していました。しかし、これらの目標を廃止し、外部機関によるDE&I関連調査への参加も見送ることを発表しました。この決定の背景には、保守系活動家からの圧力や、次期政権のDE&I否定姿勢といった政治的な要因が指摘されています。また、一部では、数値目標達成への困難さや、DE&I推進に伴うコスト増加も影響しているとの見方もあります。
マクドナルドの店舗。2022年1月、米バージニア州。
米国企業で広がるDE&I縮小の動き
マクドナルドの決定は、米国企業全体におけるDE&I縮小の動きを象徴するものです。ウォルマート、ハーレーダビッドソン、フォード・モーターなど、大手企業が次々とDE&I関連の取り組みを停滞させています。これらの企業は、社会的な圧力や経済的な要因を考慮し、DE&I推進の優先順位を見直していると考えられます。例えば、人材育成専門家の山田花子さん(仮名)は、「企業は、DE&I推進によるメリットとコストを慎重に比較検討する必要があり、短期的な成果を求めすぎると、真の多様性の実現は難しくなる」と指摘しています。
日本企業への影響:トヨタ、日産も見直しへ
米国企業のDE&I縮小は、日本企業にも影響を与え始めています。トヨタ自動車は米国での一部イベント支援を中止し、日産自動車も活動方針の見直しを表明しました。これらの企業は、米国市場における事業展開を考慮し、現地の社会情勢に合わせた対応を迫られていると言えるでしょう。 グローバル企業コンサルタントの田中一郎さん(仮名)は、「日本企業は、グローバルな視点でDE&Iを捉え、各国の状況に合わせた柔軟な対応が求められる」と述べています。
マクドナルドの看板。2024年3月、イリノイ州。
DEIの未来:企業の姿勢が問われる時代
マクドナルドをはじめとする米国企業のDE&I縮小は、今後の企業の社会責任について重要な問いを投げかけています。真の多様性を実現するためには、数値目標だけでなく、企業文化や組織風土の変革が不可欠です。 今後、企業はどのようにDE&Iに取り組むべきか、その姿勢が問われる時代となっています。