神戸市中央区のマンションで今月20日に発生した女性会社員刺殺事件で、殺人容疑で逮捕された会社員の谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区高田馬場=が、過去にも別の女性に対する殺人未遂容疑やストーカー規制法違反容疑などで兵庫県警に逮捕されていたことが23日、捜査関係者への取材で明らかになりました。この事実は、今回の悲劇の背景に潜む深刻な問題を示唆しています。
谷本容疑者の過去の逮捕歴:殺人未遂とストーカー行為
捜査関係者によると、谷本容疑者は2022年5月27日、神戸市に住む20代女性の自宅に押し入り、首を絞めたとして翌28日に殺人未遂容疑で兵庫県警に逮捕されていました。さらに、同年5月13日から28日ごろまでの期間にわたり、この女性が住むマンション付近をうろつくなどしたとして、6月にはストーカー規制法違反容疑でも逮捕されています。自宅に押し入った際、谷本容疑者は約1時間にわたって滞在し、女性に対し好意を伝え続けていたと報じられています。この過去の事件は、谷本容疑者の行動パターンと執着心の強さを示しています。
神戸マンション刺殺事件の概要と容疑者の供述
今回の事件は、2024年8月20日午後7時20分ごろ、神戸市中央区磯辺通の9階建てマンションで発生しました。6階のエレベーター前で、住人の女性会社員が血を流して倒れているのが発見され、搬送先の病院で死亡が確認されました。事件直前には、エレベーター内で谷本容疑者とみられる男が女性を羽交い締めにする様子を、同じマンションの住人が目撃していました。
兵庫県警は、女性の胸部などを刃物で複数回刺して殺害したとする殺人容疑で、今年8月22日に谷本容疑者を逮捕。「殺意を持っていたかはわかりませんが、ナイフで腹部のあたりを1回か2回くらい刺したことに間違いありません」と供述しているといいます。
逃亡から逮捕までの経緯
事件発生後、谷本容疑者は20日午後8時台にJR新神戸駅から東京方面へ向かう新幹線に乗車し、逃走を図りました。その後、22日午前にはJR奥多摩駅(東京都奥多摩町)に到着する様子が防犯カメラの映像で確認されています。
神戸女性刺殺事件の容疑者、JR新神戸駅に到着する谷本将志氏
兵庫県警は同日に谷本容疑者を指名手配。午後4時15分ごろ、警視庁の捜査員が奥多摩町内を1人で歩いている容疑者を発見し、逮捕に至りました。過去の事件に続き、再び重大事件を起こした谷本容疑者の背景について、警察は引き続き詳細な捜査を進めています。
本事件は、過去の犯罪歴を持つ人物による再犯防止の課題、およびストーカー行為がもたらす危険性を改めて浮き彫りにしています。