劇団民藝のベテラン俳優、伊藤孝雄さん逝去 87歳

伊藤孝雄さん、その名は日本の演劇界に深く刻まれた偉大な俳優の一人です。劇団民藝の中心人物として活躍し、数々の名舞台で観客を魅了してきた伊藤さんが、昨年8月14日に多臓器不全のため、87歳でこの世を去りました。この記事では、伊藤さんの輝かしい功績と、演劇界に残した大きな足跡を振り返ります。

俳優人生の軌跡

1937年1月31日、岩手県に生まれた伊藤さんは、早稲田大学法学部を中退後、俳優を志しました。1963年に俳優座養成所を卒業し、劇団民藝俳優教室に入所。1965年に劇団員となり、その才能を開花させます。1967年には、サルトル作「汚れた手」のユゴー役と木下順二作「白い夜の宴」の一郎役で、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。若くしてその実力を認められました。

紀伊國屋演劇賞を受賞した若き日の伊藤孝雄さん紀伊國屋演劇賞を受賞した若き日の伊藤孝雄さん

俳優座養成所時代の思い出

俳優座養成所で同期だった女優・樫山文枝さんは、伊藤さんを偲び、「目の覚めるような天下の二枚目なのに、中身は三枚目でユーモアあふれる愛すべき人でした」と語っています。また、「どんな役にも真剣に取り組む伊藤さんの姿が目に焼き付いている」と、その真摯な姿勢を称えました。 伊藤さんの人柄と演技に対する情熱は、周囲の人々に深い感銘を与えていたことが伺えます。

演劇界への貢献

長年にわたり劇団民藝の看板俳優として活躍した伊藤さんは、舞台のみならず、映画やテレビドラマにも出演。その幅広い演技力で、多くの作品に深みを与えてきました。後進の育成にも力を注ぎ、多くの若手俳優の指導にあたりました。日本の演劇界の発展に大きく貢献した伊藤さんの功績は、永遠に語り継がれることでしょう。

代表作

伊藤さんの代表作には、「汚れた手」「白い夜の宴」のほか、「どん底」「三人姉妹」などがあります。これらの作品は、日本の演劇史に燦然と輝く金字塔として、今もなお多くの観客に愛されています。

惜しまれる声

突然の訃報に、演劇関係者やファンからは惜しむ声が多数寄せられています。SNS上では、「伊藤さんの舞台は、いつも心を揺さぶられるものだった」「日本の演劇界にとって大きな損失だ」といった追悼のコメントが溢れています。

伊藤孝雄さん、あなたは永遠に私たちの心の中に生き続けます。心よりご冥福をお祈りいたします。