務安空港ローカライザー衝突事故:国土交通省の釈明に矛盾、告示制定時期めぐり波紋

国土交通省は、務安国際空港のローカライザー(進入方向を示す電波発射装置)と旅客機衝突事故に関し、空港内のコンクリート構造物が事故被害を拡大させた一因との指摘を受け、釈明に追われています。当初、構造物は「折れやすくしなければならない」という規定が務安空港設置後に施行されたため、規定違反ではないと主張していました。しかし、実際には空港開港以前から関連告示が存在していたことが判明し、波紋が広がっています。

2003年制定の告示、務安空港にも適用される可能性

2003年に建設交通部(現国土交通省)が制定した「空港安全運営基準」(国土部告示)第81条3号5目には、「着陸帯終端から240メートル以内に航行目的上必要で設置する施設および装備などは折れやすくし、できるだけ低く設置しなければならない」と明記されています。ただし、施行は2010年1月1日と猶予期間が設けられていました。これは既存および建設中の空港への影響を考慮したものと考えられます。

ローカライザーの残骸ローカライザーの残骸

務安空港は2007年に開港し、事故を起こしたローカライザーは着陸帯端から約200メートルに位置していました。つまり、2003年制定の告示が適用される可能性があるのです。国土交通省は当初、告示施行は2010年であり、務安空港建設時の2007年には適用されないと説明していましたが、2003年の告示制定事実には触れていませんでした。

猶予期間は免罪符ではない、公益人権法財団が批判

公益人権法財団「共感」は、告示制定から施行までの7年間の猶予は、関連施設の変更などに必要な時間と費用を考慮したものであり、2010年以前の新築空港がこの規定を無視しても良いという意味ではないと批判しています。既存施設への遡及適用がない場合、告示に別途条項が設けられるのが通例であり、国土交通省の釈明は規定の趣旨と内容を歪曲するものだと指摘しています。

務安国際空港務安国際空港

国土交通省、事実上認め捜査対象に

国土交通省関係者は、2003年に規定が制定されたにも関わらず、なぜ2007年の開港時および2010年の施行以降に反映されなかったのかは捜査の対象となると述べ、現時点で規定違反かどうかの断定は難しいとしています。

航空機の残骸航空機の残骸

この問題は、空港の安全基準遵守の徹底と、国土交通省の情報公開の透明性という点で、更なる調査が必要です。 専門家であるA氏(航空安全コンサルタント)は、「猶予期間の存在に関わらず、安全基準は可能な限り早期に適用されるべきだ」と指摘し、今回の事故を教訓に、空港の安全管理体制の見直しが必要だと訴えています。今後、捜査の進展が注目されます。