兵庫県の斎藤元彦知事を告発した元県西播磨県民局長(昨年7月死亡)の私的情報漏洩問題を巡り、私的情報を交流サイト(SNS)などに投稿した政治団体「NHK党」の立花孝志党首が、街頭演説などで自身への情報提供者だとする県職員の実名を挙げ、波紋を広げている。県が容疑者不詳のまま刑事告発する中で職員名が明かされたことに対し、斎藤知事は6月16日、記者団の取材に応じ、「捜査機関に対応をゆだねている。県として対応することは考えていない」と述べ、県による独自の調査などには否定的な姿勢を示した。この問題は、県政の透明性や情報管理のあり方が問われる重要な局面を迎えている。
立花氏が情報提供者として県職員の実名挙げる
NHK党の立花孝志党首は、6月14日に尼崎市議選(15日投開票)の同党候補者の応援演説を行った際、私的情報を提供した人物として特定の県職員の氏名と所属を挙げた。さらに16日には県庁で記者団の取材に応じ、昨年11月にその職員からLINEを通じて私的情報が送られてきたと具体的に説明した。この発言は、情報漏洩のルート特定を巡る県の捜査や調査に影響を与える可能性があるとして注目されている。
情報漏洩問題の経緯と県の対応
立花氏がSNS(ユーチューブ、X=旧ツイッター)で私的情報を投稿・拡散したのは昨年11月下旬以降だ。これを受け、県の設置した第三者委員会は、「県職員によって情報が漏洩した可能性が極めて高い」と指摘したが、流出元は特定できなかった。県は、地方公務員法(守秘義務)違反の罪で兵庫県警に容疑者不詳のまま告発状を提出し、すでに受理されている。この刑事告発が進行する中で、立花氏が具体的な職員名を挙げた形となる。
別の第三者委報告と総務部長の漏洩認定
一方で、情報漏洩問題に関しては、県の別の第三者委員会も報告書を公表している。この委員会は、県の総務部長だった井ノ本知明氏が私的情報を県議3人に漏洩したと認定。さらに、「知事や元副知事の指示によって、情報漏洩が行われた可能性が高いと判断せざるを得ない」と結論づけている。複数のルートでの情報漏洩の可能性が指摘されており、問題の複雑さを浮き彫りにしている。
兵庫県知事 斎藤元彦氏が記者団の取材に応じる(2024年6月16日、神戸市)
斎藤知事の反応
立花氏による県職員の実名報道を受けて、斎藤知事は16日、記者団に対し、捜査機関による捜査を静観する姿勢を示した。県として独自に内部調査を行うことについては「考えていない」と明確に否定。情報提供者とされる職員に対する県としての対応についても、刑事告発を含めた捜査の進展を待つ意向を示唆した。知事のこの姿勢は、県内部の対応に消極的だとの見方を生んでおり、今後の県政運営に影響を与える可能性もある。
捜査機関の今後の判断や、情報漏洩の全体像の解明が待たれる。
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