G7首脳、中東情勢で共同声明発表 イラン核・ガザ停戦に言及

カナダ西部カナナスキスの先進7か国(G7)首脳会議にて、16日、緊迫する中東情勢に関する共同声明が発表されました。この「G7 中東情勢 共同声明」は、イスラエルの自衛権支持とイランの核兵器保有「決して容認しない」という断固たる立場を強調。民間人保護やパレスチナ自治区ガザでの停戦を含め、地域全体の緊張緩和を強く訴えました。

声明の主な内容:イスラエル支持とイランへの警告

声明は冒頭で、「中東の平和と安定へのコミットメントを再確認する」と表明しました。G7各国は、イスラエルの安全保障に対する揺るぎない支持を改めて示す一方で、紛争当事者に対し、民間人の保護を最優先する重要性を訴えました。これは、特にガザ地区における深刻な人道状況を踏まえたものです。

イランに関しては、「地域の不安定化とテロ活動の主要な要因」であると厳しく非難する言葉が盛り込まれています。その上で、イランがいかなる状況下でも核兵器を保有することを「決して容認しない」という、従来の断固たる立場を改めて強調しました。G7首脳は、イランが引き起こす危機の解決が、中東地域全体の緊張緩和と安定につながるべきだとの見解を示し、外交的な解決プロセスを強く支持し、これを促していく姿勢です。

イスラエルによる攻撃後、煙が上がるイラン・テヘラン近郊の石油関連施設イスラエルによる攻撃後、煙が上がるイラン・テヘラン近郊の石油関連施設

エネルギー市場への影響と声明策定の背景

さらに、中東情勢の緊迫が国際的なエネルギー市場に混乱をもたらす可能性についても深い懸念が表明されました。「市場の安定を守るため、志を同じくする国々と緊密に連携する用意がある」と声明は結び、エネルギー安全保障の観点からも状況を注視していく姿勢を明確にしています。

声明案は、欧州諸国が中心となってその取りまとめを主導したと報じられています。ドイツのメルツ首相は記者会見で、「イランが核兵器開発に必要な物質を取得することは断じて許されない」と述べ、核不拡散の重要性を改めて強調しました。英国のスターマー首相も、記者団に対し、「事態の激化やイランの核開発への懸念はG7各国で共有されているが、最も重要な焦点は、いかにして中東地域の緊張を緩和し、安定をもたらすかだ」と述べ、対話と外交の必要性を訴えました。

調整難航の可能性に関する報道

一方で、米CNNなどの一部報道では、米国のトランプ大統領がこの共同声明に署名しない意向を示していると伝えられており、G7内での声明内容に関する調整には、少なからず難航があったのではないかとの見方も浮上しています。

G7首脳会議で中東情勢について意見を交わす英国のスターマー首相とドイツのメルツ首相G7首脳会議で中東情勢について意見を交わす英国のスターマー首相とドイツのメルツ首相

結論:G7としての一貫した姿勢

今回のG7共同声明は、イランの核開発に対する強い不容認の姿勢と、イスラエルへの安全保障上の支持、そしてガザを含めた紛争地域における民間人保護の重要性を同時に強調しました。中東全体の緊張緩和に向けたG7としての外交努力への強いコミットメントが示された形であり、国際社会への重要なメッセージとなっています。