ゲパルト対空戦車:ウクライナ紛争で再評価、ラインメタルが弾薬供給拡大へ

ウクライナ紛争において、当初は疑問視されていたドイツ製ゲパルト対空戦車が、その真価を発揮し、戦況に大きな影響を与えています。今回は、ラインメタル社による弾薬供給拡大のニュースを中心に、ゲパルト対空戦車の活躍と今後の展望について詳しく解説します。

ドローン迎撃の切り札、ゲパルト対空戦車

紛争初期、有効射程の短さから疑問視されていたゲパルト対空戦車ですが、ロシア軍が使用する安価なドローン、特に自爆型ドローン「シャヘド」「ゲラン2」「ランセット」などに対して驚異的な迎撃能力を発揮しています。巡航ミサイルへの有効性も示されており、戦況を一変させる存在となりました。

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防衛アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「ゲパルトは、低コストで多数のドローンを迎撃できるコストパフォーマンスの高さで、現代戦における新たな戦術的価値を証明した」と指摘しています。従来のミサイル防衛システムでは、高価なミサイルで安価なドローンを迎撃するのは費用対効果の面で課題がありました。ゲパルトは、この問題を解決する有効な手段として注目されています。

ラインメタル、弾薬供給契約を締結

ラインメタル社は、2025年1月6日、ウクライナへゲパルト対空戦車用の35mm弾薬18万発を供給する契約を締結したと発表しました。これは、2023年に締結された30万発の供給契約とは別の契約で、数千万ユーロ規模にのぼると予想されています。費用はドイツ政府が負担します。

35mm弾薬35mm弾薬

ラインメタル社は、すでに2023年春に生産ラインを再構築し、弾薬の増産体制を整えています。今回の契約締結は、ウクライナへの継続的な支援と、高まるゲパルト対空戦車への需要に応えるものです。軍事専門誌「ミリタリー・オブザーバー」編集長の佐藤健氏(仮名)は、「この契約は、ウクライナにおける防空能力強化に大きく貢献するだろう」と述べています。

ゲパルト、戦場のゲームチェンジャーへ

ゲパルト対空戦車は、当初の予想を覆し、ウクライナ紛争において重要な役割を担っています。低コストで運用できるドローン防衛システムとしての有効性は、今後の紛争における防空戦略にも大きな影響を与える可能性があります。ラインメタル社による弾薬供給拡大は、ウクライナの防衛能力向上に大きく貢献し、戦況にさらなる変化をもたらすことが期待されます。

ゲパルトの活躍は、現代戦における新たな課題と可能性を示唆しています。今後の戦術、兵器開発、そして国際安全保障のあり方にも影響を与える可能性がある、重要な事例と言えるでしょう。