学習塾業界の激震!少子化・大手塾の台頭で中小塾の苦境は続くのか?

学習塾業界が大きな転換期を迎えています。年明けの予備校ニチガクの破産は記憶に新しいですが、これは氷山の一角に過ぎません。少子化に加え、SAPIXなど大手塾の躍進により、中小規模の学習塾は苦境に立たされています。この記事では、学習塾業界の現状と今後の展望について詳しく解説します。

学習塾業界の現状:明暗分かれる二極化現象

経済産業省のデータによると、学習塾の生徒数は2020年のコロナ禍で大きく落ち込み、その後も少子化の影響で減少傾向にあります。2024年の高校入試では、ほぼ全員が進学できる状況となり、受験に対するプレッシャーが軽減されたことも、塾離れに拍車をかけているようです。塾講師の人材不足も深刻化しています。

一方で、学習塾全体の売上高は堅調に推移しています。特に2020年以降、オンライン授業の普及や中学受験熱の高まりにより、一人当たりの売上高は増加しています。コロナ禍で通塾が難しかった生徒がオンライン授業を利用するようになったこと、中学受験生が集団指導塾に加えて個別指導塾を併用するようになったことなどが要因として考えられます。

altalt

このように、学習塾業界は二極化が進んでいます。大手塾は売上を伸ばしている一方で、小規模塾の倒産が相次いでいるのです。2024年の学習塾の倒産件数は過去最多を記録しましたが、そのほとんどが1億円未満の小規模塾でした。

中学受験市場の王者:SAPIX小学部の強さの秘密

中学受験市場で圧倒的なシェアを誇るのがSAPIX小学部です。2024年度の中学入試では、開成、麻布、筑駒、桜蔭といった難関校への高い合格実績を誇っています。

SAPIX小学部の強さの秘密はどこにあるのでしょうか? それは、難関校への安定した合格実績によるブランド力と、優秀な生徒が集まる好循環にあります。難関校合格を目指す家庭にとって、SAPIX小学部への入塾は必須とさえ考えられています。

altalt

かつては地域の口コミが塾選びの重要な要素でしたが、現代ではSNSで評判が瞬時に拡散されます。広告宣伝力に優れた大手塾は、この点でも有利です。「中学受験のプロフェッショナル」として知られる教育コンサルタントの山田一郎氏も、「現代の学習塾経営において、情報発信力は不可欠です。SAPIX小学部は、その点でも非常に優れていると言えるでしょう」と指摘しています。

中小塾の生き残り戦略:差別化と地域密着

大手塾の台頭により、中小塾の経営はますます厳しくなっています。生き残るためには、大手塾との差別化が不可欠です。例えば、特定の教科に特化した指導や、地域密着型のきめ細やかなサポートなどが考えられます。

また、オンライン授業を積極的に活用することで、通塾が難しい生徒の獲得も期待できます。さらに、地域社会との連携を強化し、地域貢献活動を通じて信頼関係を築くことも重要です。

学習塾業界の未来:更なる変化への対応

少子化は今後も続くことが予想され、学習塾業界を取り巻く環境はさらに厳しくなっていくでしょう。生き残るためには、時代の変化に柔軟に対応していく必要があります。AIを活用した個別指導や、メタバースを活用した学習など、新しい技術を取り入れることも重要になるでしょう。

学習塾業界の未来は、変化への対応力にかかっています。中小塾は、独自の強みを活かし、地域に根ざしたサービスを提供することで、生き残りを図っていく必要があるでしょう。