実写版ドラゴンボール:ハリウッドが犯した原作への大罪?!『ドラゴンボール EVOLUTION』の真実

ハリウッドが日本のアニメ・漫画を実写化する度に、ファンは期待と不安で胸を膨らませます。成功例もあれば、黒歴史として語り継がれる作品も…。今回は、後者の代表格とも言える2009年公開の映画『ドラゴンボール EVOLUTION』を徹底解剖。原作ファンを失望させた理由、そして制作の裏側にある知られざるドラマに迫ります。

原作へのリスペクトはどこへ?ハリウッド版ドラゴンボールの失敗

誰もが知る国民的漫画『ドラゴンボール』。全世界で累計発行部数2.6億部を突破したこのメガヒット作品が、ハリウッドで実写化されたと聞いてワクワクした方も多いのではないでしょうか。しかし、公開された『ドラゴンボール EVOLUTION』は、チープなCG、中途半端なカンフーアクション、そして原作を無視した設定で、世界中のファンを失望させる結果となりました。

alt=悟空役を演じたジャスティン・チャットウィン。ハリウッド版ドラゴンボール「ドラゴンボール EVOLUTION」でのイメージ写真alt=悟空役を演じたジャスティン・チャットウィン。ハリウッド版ドラゴンボール「ドラゴンボール EVOLUTION」でのイメージ写真

高校生悟空?!原作無視のストーリー展開

物語は、世界征服を企むピッコロ大魔王がドラゴンボールを探すところから始まります。それを阻止すべく立ち上がるのは、なんと…普通の高校生、孫悟空。原作では猿の尻尾を持つ少年として描かれている悟空が、冴えない高校生として登場するという衝撃的な設定変更に、多くのファンが言葉を失いました。

監督の無理解が招いた悲劇

本作の失敗の最大の原因は、監督のジェームズ・ウォンの原作への無理解にあったと言われています。『少林サッカー』で知られるプロデューサー、チャウ・シンチーや主演のジャスティン・チャットウィンは原作の大ファンだったにもかかわらず、監督は彼らの意見に耳を傾けず、原作者である鳥山明氏の意向も無視したと言われています。

この事態は、チャウ・シンチーがプロモーションをボイコットするまでに発展。脚本家のベン・ラムジーも後年、お金のために原作への愛を捨てて脚本を書いたことを告白しています。鳥山明氏も、後の作品『ドラゴンボールZ 神と神』で本作への失望を露わにしています。

関係者の後悔と反省…ハリウッド版ドラゴンボールが残したもの

『ドラゴンボール EVOLUTION』は、興行的に大失敗に終わり、監督のジェームズ・ウォンは映画監督業から引退。関係者にとって大きな傷跡を残す結果となりました。

未来への教訓:原作へのリスペクトの重要性

この作品は、ハリウッドにおける日本の漫画・アニメの実写化の難しさを改めて浮き彫りにしました。原作へのリスペクト、そしてファンの声に耳を傾けることの重要性を、我々に教えてくれる貴重な事例と言えるでしょう。日本のコンテンツの持つ魅力を最大限に活かすためには、原作への深い理解と敬意が不可欠なのです。

この失敗から学び、今後の実写化作品がより良いものになることを期待したいですね。