ロ露首脳会談、プーチン大統領が「同盟的関係」を強調 北朝鮮のウクライナ派兵を高く評価

2025年9月3日、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は、訪問先の北京で首脳会談を行いました。昨年10月、北朝鮮がウクライナ侵攻を続けるロシアへの支援として兵士を派遣して以来、両首脳が顔を合わせるのは今回が初めてです。タス通信によると、プーチン大統領は両国関係を「特殊な信頼と友好に基づく、同盟的な関係だ」と位置づけ、国際社会における両国の連携強化を鮮明にしました。この会談は、地域の安全保障環境に大きな影響を与えるものとして注目されています。

ロ露の「同盟的関係」を強調するプーチン大統領

会談の中で、プーチン大統領はロシア西部クルスク州でウクライナ軍と戦った北朝鮮軍について言及し、「あれはネオナチズムとの戦いだ」と主張しました。その上で、「共に参加してくれて感謝する」と北朝鮮に謝意を表明しました。さらに、「北朝鮮軍の勇敢さと英雄的行為を高く評価する。ロシアはあなたがたの軍隊と軍人の家族がささげた犠牲を永遠に忘れない」と述べ、北朝鮮の軍事支援を公に称賛しました。これは、両国間の軍事協力が単なる支援を超え、共通の敵と戦う「同盟」の性質を帯びていることを示唆しています。

一方、朝鮮中央通信によると、金正恩総書記はプーチン大統領に対し、「今後も、国家主権と領土を守ろうとするロシアの戦いを全面的に支持し、これを兄弟の義務だとみなす」と強調しました。また、有事の際の軍事援助などを定めた「包括的戦略パートナーシップ条約」を今後も忠実に履行していくと語り、ロシアとの緊密な連携を継続する意思を明確にしました。両首脳は、国際情勢や具体的な二国間協力計画についても深く協議したと報じられています。

北京での露朝首脳会談で握手を交わすプーチン大統領と金正恩総書記(2025年9月3日)北京での露朝首脳会談で握手を交わすプーチン大統領と金正恩総書記(2025年9月3日)

会談の詳細と国際情勢への影響

タス通信の報道によれば、プーチン大統領と金総書記は「抗日戦争勝利80年」を記念する軍事パレード後のレセプションに出席した後、同じ車に乗って会談場所へ移動しました。約2時間半に及んだ会談では、国際情勢や両国の協力関係の具体化が話し合われたほか、8月に米アラスカで行われたプーチン大統領とトランプ米大統領の首脳会談の内容を含め、対米関係についても議論された可能性があるとみられています。

ロシア側からはラブロフ外相、ベロウソフ国防相、コズロフ天然資源環境相らが同席しました。また、会談に直接参加したかは不明ですが、金総書記の妹である金与正(キムヨジョン)党副部長も会場に随行しており、北朝鮮における彼女の役割の重要性が改めて示されました。前回の露朝首脳会談は、プーチン大統領が2024年6月に訪朝した際に行われており、今回は約1年3か月ぶりの再会となりました。

北朝鮮兵のウクライナ派兵と中朝首脳会談

北朝鮮は昨年10月以降、約1万5000人の兵士をウクライナ侵攻中のロシアに派遣したとされています。韓国の国家情報院(国情院)は2日、これらの兵士の死者数が約2000人に上るとの分析を発表しました。これに対し、ロシアは北朝鮮に対し、軍事技術の支援などを行っているとみられており、両国の軍事的な結びつきが強化されている実態が浮き彫りになっています。

一方、中国国営新華社通信によると、中国の習近平国家主席と北朝鮮の金総書記は4日、北京の人民大会堂で別途、首脳会談を実施しました。中朝首脳会談は、習主席が2019年6月に北朝鮮を訪問して以来、約6年ぶりとなります。ロシア、北朝鮮、中国という三国間の動向は、東アジアおよび世界の安全保障環境に複雑な影響を及ぼすものとして、国際社会から引き続き注目されるでしょう。

ソウル日下部元美、北京・河津啓介

参考文献

  • タス通信 (TASS)
  • 朝鮮中央通信 (KCNA)
  • 新華社通信 (Xinhua)
  • 韓国国家情報院 (NIS)
  • 毎日新聞