アレフへの「再発防止処分」継続決定:麻原元死刑囚の妻と次男が“構成員”と認定

30度を超える暑さとなった7月4日、公安調査庁の調査官13名が埼玉県越谷市北越谷にあるオウム真理教(現・アレフ)の施設を訪れ、そのうち10名が立入検査を実施した。この拠点からは、麻原彰晃こと松本智津夫・元死刑囚の写真や説法を収録した教材が多数保管されているのが確認された。同日、茨城県水戸市の拠点でも同様の検査が行われ、松本元死刑囚の写真などが数多く確認されている。こうした状況を受け、9月3日、公安審査委員会はオウム真理教の後継団体とされる「アレフ」に対し、団体規制法に基づく「再発防止処分」の継続を決定した。

「空中浮揚」を主張する麻原彰晃(松本智津夫・元死刑囚)の写真。公安調査庁が監視活動の一環として保管している資料。アレフの拠点施設で確認された。「空中浮揚」を主張する麻原彰晃(松本智津夫・元死刑囚)の写真。公安調査庁が監視活動の一環として保管している資料。アレフの拠点施設で確認された。

アレフは団体規制法により、公安調査庁への活動内容報告が義務付けられ、定期的な立入検査も実施されている。しかし、公安当局はアレフが一部の活動や資金の流れを正確に報告していないとして、警戒を強めている。社会部記者によると、4月には松本元死刑囚の妻と次男が暮らす埼玉県越谷市内の自宅で家宅捜索が行われ、数千万円の現金が見つかった。公安当局は、この多額の現金から、アレフが何らかの形で妻と次男とつながりを持っているとみていたという。今回の公安審査委員会の決定では、この次男と妻がアレフの「役職員及び構成員」であることが認定された点が特に注目されている。

長期間にわたる不報告の実態

麻原元死刑囚の妻は、オウム真理教時代には最高幹部の一人として「マハーマーヤ」、後に「ヤソーダラー」というホーリーネームで知られていた。1990年の衆議院議員選挙には「真理党」の候補として出馬した経歴もある。

今回の公安審査委員会の「決定の概要」と題された資料には、アレフが報告義務を怠った具体的な事実が記されている。

  • 【1】妻と次男がアレフの役職員及び構成員であるにもかかわらず、これらを報告しなかった。
  • 【2】20歳未満の構成員が存在するにもかかわらず、これらを報告しなかった。
  • 【3】在家構成員の一部について、報告書を空欄にして報告しなかった。
  • 【4】位階制度を設けているにもかかわらず、出家構成員の位階を報告しなかった。

さらに、妻と次男に関しては、「両名が活動の拠点としていた施設に係る不報告が約11年と長期間に及んでいる」とも言及されている。

この決定を受けて公安調査庁が9月3日に発表したコメントでは、「麻原の妻については、団体から送金された資金の管理や、団体の活動の用に供されている施設の管理を行うとともに、団体の運営に関する会合に参加するなどしてきたことが認定されております」と指摘されている。公安当局は今年7月、次男が2代目「グル」を自称し、妻が「後見的に補佐する立場」にあるとの見方を示した。資金の流れを含むアレフの活動実態について、今後も引き続き厳しく注視していく方針だ。

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