映画製作の世界には、莫大な費用と豪華なキャストを投じながらも、観客の期待を裏切り、監督自身が「失敗だった」と公言する作品が少なくありません。本記事では、ハリウッドの巨匠たちが製作の舞台裏で経験した苦悩や後悔に焦点を当て、監督本人が認めた“失敗作”の一つ、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』の背景を深く掘り下げます。
『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』:巨匠が認めた「作るべきではなかった」映画
破壊された都市とエイリアンの脅威を描いたSF映画のイメージ
2016年に公開されたSF大作『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』は、ローランド・エメリッヒ監督がメガホンを取り、リアム・ヘムズワース、ジェフ・ゴールドブラム、ジェシー・アッシャー、ビル・プルマン、マイカ・モンローといった国際色豊かなキャストが出演しました。作品の舞台は、1996年のエイリアン侵略を生き延びた人類が、奪取した異星の技術を用いて地球防衛網を構築し、再度の襲来に備える世界です。しかし、進化を遂げた新たな敵が人類の想定を超える戦力で再び地球を圧倒し、人類は絶滅の危機に直面します。
前作の栄光と続編への期待
1996年に公開された前作『インデペンデンス・デイ』は、地球規模の危機に際して人類が団結する姿を圧倒的な映像と高揚感で描き、世界中で爆発的なヒットを記録しました。世界興行収入は約8億1,740万ドルに達し、SF映画の金字塔として多くの人々に記憶されています。それから20年、満を持して制作された続編『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』には大きな期待が寄せられました。旧キャラクターに加え、新世代のパイロットたちが人類存亡をかけた壮絶な戦いに挑む物語は、ファンの心を再び掴むはずでした。
『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』を手がけたローランド・エメリッヒ監督
ウィル・スミス不在がもたらした誤算
しかし、結果として『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』は監督ローランド・エメリッヒ自身が「作るべきではなかった」と後悔を語るほどの苦い結末を迎えました。制作費1億6,500万ドルを投じた本作の世界興行収入は3億8,970万ドルにとどまり、前作の半分にも満たない数字となりました。この興行的な失敗の最大の要因は、前作で主役を務めたウィル・スミスの不在でした。
エメリッヒ監督は当初、ウィル・スミスを軸にした脚本を用意していましたが、スミスが同時期に『スーサイド・スクワッド』(2016年)への出演を選択したため、急遽ストーリーを作り直すことになりました。監督は当時を振り返り、「本来の良い脚本が失われた」と嘆き、スミス降板後は「本当に早く別の脚本をつなぎ合わせなければならなかった」と語っています。この性急な脚本変更が、映画の質に大きく影響したことは間違いありません。最終的に、エメリッヒ監督は「映画の制作をやめるべきだった」とまで判断を後悔していると明かしています。
シリーズの凍結と残された教訓
『インデペンデンス・デイ』シリーズは、もともと3作目までの構想がありました。しかし、本作の興行的失敗により、続編の企画は事実上凍結されてしまいました。この一件は、たとえ巨匠と呼ばれる監督であっても、主要キャストの変更や急な脚本の見直しが作品に与える影響の大きさを浮き彫りにしています。映画製作における複雑な要素と、それが最終的な作品の運命を左右するという、厳しい現実を映し出す一例と言えるでしょう。
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