ウクライナ東部クルスク州で、ロシア軍とウクライナ軍が激しい攻防を繰り広げている。5日には両軍が同時攻撃を仕掛け、ドローンを活用した戦術が目立った。現代戦においてドローンの存在感が増す中、クルスク州での戦闘は今後の戦況を占う上で重要な意味を持つと言えるだろう。
ドローンが戦場を「透明化」、攻防一体の新たな局面
ドローンの普及は、戦場の様相を大きく変えた。かつては攻撃側が優位に立つことが多かったが、ドローンによる常時監視が可能になったことで、防御側の優位性が高まっている。クルスク州の戦闘でも、この傾向が顕著に現れた。双方が互いの動きを察知し、迅速な対応を繰り広げたことで、決定的な戦果を挙げることが難しくなっている。軍事アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「ドローンは戦場を『透明化』し、攻防の境界線を曖昧にしている」と指摘する。
ロシア軍、50両規模で攻撃も成果上がらず
ウクライナ軍第47独立機械化旅団の報告によれば、5日、ロシア軍は戦車、歩兵戦闘車、バギーなど計50両を投入し、6波にわたる攻撃を敢行した。攻撃の中心となったのは、第34独立自動車化狙撃旅団もしくは第155独立親衛海軍歩兵旅団とみられる。雪に覆われた平原を進軍するロシア軍部隊に対し、ウクライナ軍はドローン、ミサイル、大砲による集中攻撃を浴びせた。
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第47機械化旅団は、「全部隊が一体となって敵に痛撃を与えた」と発表。ウクライナ軍のドローン部隊は、ロシア軍の一部がウクライナ側の塹壕に迫る様子を捉えていた。クルスク州にはウクライナ軍が占領する突出部が存在するが、ロシア軍の進軍がどこまで成功したかは定かではない。
ウクライナ軍、効果的な反撃でロシア軍に打撃
ロシア軍の攻撃は、ウクライナ軍の巧みな反撃によって大きな損害を被った。ウクライナ軍は、ロシア側の人員45人を殺害、53人を負傷させたと発表。米国製の装甲車両を運用する第47機械化旅団を中心とした反撃は、ロシア軍に「中隊規模」の人的損失を与えたとされる。 軍事評論家の田中花子氏(仮名)は、「ウクライナ軍のドローン運用能力の向上が、今回の戦闘における効果的な反撃につながった」と分析する。
今後の戦況は? ドローン戦の行方が鍵を握る
クルスク州での戦闘は、ドローンが現代戦において不可欠な存在となっていることを改めて示した。今後、ウクライナ紛争においても、ドローンを巡る攻防が激化していくと予想される。どちらがより効果的にドローンを活用できるかが、今後の戦況を左右する重要な要素となるだろう。