ヤマト運輸の分業制:クール便ドライバーの苦悩と崩壊の危機

ヤマト運輸、日本の物流を支える大企業。しかし、その輝かしいイメージの裏で、首都圏の営業所では深刻な問題が起きているという。一体何が起こっているのか、クール便ドライバーの苦悩を通して、ヤマト運輸の現状に迫ります。

分業制導入でドライバーの給与が激減?

ヤマト運輸のトラックヤマト運輸のトラック

2023年、ヤマト運輸はドライバーの業務効率化を目的として「分業制」を導入しました。従来、セールスドライバー(SD)は集荷・配達に加え、クール便(冷凍・生鮮食品)の配達も担当していました。しかし、分業制により、クール便専門のクールドライバー(CD)が新設されたのです。

港区、品川区、江東区など都心部に「クール部隊」が設立されましたが、現場からは批判の声が上がっています。港区担当のSDは、「CDは業務効率化どころか、現場を混乱させている」と語ります。CDの担当区域はSDの3倍も広く、クール便の午前指定に間に合わない、クレーム電話が殺到するなどの問題が頻発しているようです。

クール便ドライバーの過酷な労働環境

クール便のイメージクール便のイメージ

都心部では飲食店からのクール便依頼が多く、時間指定も厳しいのが現状です。「午前10時までに食材を届けてほしい」といった要望にも、担当区域の狭いSDは対応できていましたが、CDには難しいとのこと。

さらに、CDは東京湾岸エリアの物流施設「東京レールゲート」を拠点とするため、通勤時間が大幅に増加したドライバーも少なくありません。「通勤時間が1時間も延びた」と嘆くCDの声も聞こえてきます。

配送ドライバーのイメージ配送ドライバーのイメージ

CDの不満は給与面にも及びます。ドライバーの給与は配達個数に応じたインセンティブが大きな割合を占めます。しかし、クール便は置き配ができないため、配達個数が伸び悩み、インセンティブも減少する傾向にあります。「CDになってから給料が9万円も減った」という声もあり、生活への影響も深刻です。以前は高級車を購入する余裕もあったドライバーが、維持できずに売却したという事例も報告されています。

ヤマト運輸の未来は?

ヤマト運輸の分業制は、ドライバーの労働環境悪化、サービス品質の低下につながる可能性があります。「顧客満足度」を重視してきたヤマト運輸にとって、この問題は深刻です。今後、ヤマト運輸はどのようにこの課題を解決していくのでしょうか。日本の物流を支える大企業の未来に、注目が集まっています。