【日鉄vs.クリーブランド・クリフス】USスチール買収劇、CEOの「日本は邪悪」発言で波紋

米鉄鋼大手USスチール社の買収を巡り、日本製鉄とクリーブランド・クリフスによる熾烈な争いが続いています。クリフスのゴンカルベスCEOは、ペンシルベニア州で行われた記者会見で、「日本は邪悪だ」と発言し、日鉄の買収計画を痛烈に批判しました。この発言は大きな波紋を呼び、今後の買収劇の行方に注目が集まっています。

ゴンカルベスCEO、USスチール買収への執念を露わに

ゴンカルベスCEOは、USスチール買収への強い意欲を改めて表明。「買収したい。計画がある」「我々は米国一丸となった解決策を持っている」と述べ、具体的な詳細は明かさなかったものの、再検討を進めていることを明らかにしました。

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一方で、中国の粗鋼生産量が世界を席巻している現状を指摘し、「日本は邪悪だ。中国以下だ。中国にダンピングや過剰生産の方法を教えた」と日本を批判。さらに、買収禁止命令を出したバイデン大統領に理由の説明を求めた石破茂元首相に対しても、「イシダ!日本の首相がだぞ!」と怒りを露わにしました。そして、背後の星条旗をつかみながら「合衆国だぞ!」と絶叫。「日本よ、注意しろよ。1945年以降、何も学んでいないじゃないか」と、第二次世界大戦での日本の敗戦を引き合いに出し、激しい言葉で非難しました。

日鉄会長への攻撃、法廷闘争を示唆

ゴンカルベスCEOの怒りは収まらず、買収阻止のため違法行為を行ったとして自身らを提訴した日鉄の橋本英二会長に対しても、「私のことを悪党とかマフィアのボスだとか呼んでいるが、法廷で証明できなければ、無一文にし、家も車も奪う」と攻撃しました。

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クリフスとニューコアの提携、独禁法対策を講じる

米CNBCテレビによると、クリフスは電炉大手ニューコアと提携。クリフスがUSスチールを買収後、傘下の電炉会社をニューコアに売却する計画です。これは、USスチール買収に伴う独占禁止法抵触の懸念を払拭するための戦略とみられています。

日鉄、一歩も引かぬ構え USスチールはCEO発言を非難

USスチール買収を巡っては、日鉄が141億ドル、クリフスが70億ドルで競り合い、日鉄が勝利しました。再買収提示額も日鉄を大幅に下回る見通しで、日鉄は「ゴンカルベス氏は偏った固定観念に固執している。彼の提案は日鉄の買収計画の範囲と規模に匹敵し得ない」と、強気の姿勢を崩していません。USスチールも「同盟国である日本の人々に対するゴンカルベス氏の言葉による攻撃に非常に失望している」とコメントを発表しました。

買収劇の長期化、中国の動向に注目

日米両政府を巻き込んだ買収競争は、さらに激化し、長期化する可能性も指摘されています。この状況を、シェア拡大の好機と捉えている中国の動向にも注目が集まります。