今年の箱根駅伝、青山学院大学の劇的な優勝に沸く一方で、ある中国人インフルエンサーの行動が物議を醸しました。往路5区の山登りで選手に並走する動画が拡散され、批判が殺到。今回はこの騒動を通して、応援のあり方、そして法律の観点から解説します。
熱狂の陰で:インフルエンサーの迷惑行為とは?
白熱したレース展開の中、SNS上で拡散されたのは、中国人インフルエンサーが5区の山登りで選手に並走する動画。歩道のない山道で、路側帯をはみ出しながら選手と並走する様子、さらには後ろから「加油!」と声援を送る同行者の姿も捉えられていました。大会運営スタッフの警告も無視するなど、周囲への配慮を欠いた行動に非難が集中しました。
alt="箱根駅伝5区を走るランナー"
このインフルエンサーの行為は、選手のパフォーマンスに影響を与えた可能性も否定できません。標高差800mを超える5区は「山の神」と呼ばれる選手が誕生するほど過酷な区間。わずかなペースの乱れが勝敗を左右することもあります。
関東学連は大会前に公式サイトで「車道上での応援は危険です。必ず歩道から応援してください」と注意喚起していました。しかし、今回のケースではマイクでの警告にとどまり、警察による静止措置は取られませんでした。
並走は犯罪? 弁護士の見解
選手に直接接触していなくても、このような並走行為は法的に問題となるのでしょうか? 弁護士法人ダーウィン法律事務所代表の岡本裕明弁護士は、刑法233条の偽計業務妨害罪や、軽犯罪法違反(1条31号)が成立する可能性を指摘します。
alt="岡本裕明弁護士の肖像写真"
これらの法律は、業務を妨害する危険性のある行為を処罰するもので、結果的に影響がなかったとしても成立する可能性があります。つまり、選手に触れたり、進路を妨害したりしていなくても、並走行為自体が違法と判断される可能性があるのです。「応援」という名目であっても、選手や大会運営に支障をきたす行為は許されるべきではありません。
駅伝の応援、どうあるべきか?
今回の騒動は、駅伝における応援のあり方を改めて問うものです。選手への声援は大きな力となりますが、行き過ぎた応援は選手のパフォーマンスを妨げ、大会運営にも支障をきたします。安全かつマナーを守った応援を心がけ、選手たちがベストを尽くせる環境を築くことが重要です。ルールとマナーを守り、選手たちの努力を尊重する、真の応援とは何かを考えるきっかけにしたいですね.