新NISAクレカ積立、早くも改悪続出!賢い投資家はどうする?

新NISA制度が始まってまだ1年も経たないうちに、クレジットカード積立のポイント還元率が軒並み引き下げられています。当初は各社が顧客獲得の目玉として高還元率を競っていましたが、一体何が起きているのでしょうか?長期投資を前提としたNISA制度で、このような短期的な改悪は投資家の信頼を揺るがし兼ねません。この記事では、新NISAクレカ積立の現状と、賢い投資家はどう対応すべきかを解説します。

なぜ還元率が低下するのか?その背景を探る

楽天証券やSBI証券など、ネット証券を中心に展開されていた高還元率のクレカ積立。新NISA開始前は1%を超える還元率を提示する証券会社もありましたが、2024年に入り、還元率の引き下げや条件の厳格化が相次いでいます。例えば、三井住友カードは年間10万円以上の利用がなければポイントが付与されないように変更し、au PAYカードは還元率を1%から0.5%に引き下げました。

クレカ積立イメージクレカ積立イメージ

クレジットカード積立とは、投資信託の積立購入をクレジットカード決済で行うサービスです。つみたてNISAだけでなく、成長投資枠でも利用できるため、多くの投資家が活用していました。しかし、マネーライターの松岡賢治氏によると、この高還元率は証券会社にとって大きな負担となっていたようです。

証券会社が投資信託から得られる利益は「代行手数料」と呼ばれ、運用管理費用の約3分の1程度。人気の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』を例に挙げると、運用管理費用は年率0.09372%なので、代行手数料は約0.03124%に過ぎません。1%のポイント還元を行うと、証券会社が利益を回収するには4〜5年かかる計算になります。

「顧客獲得のための先行投資としては理解できますが、長期的な視点でサービスを維持していくのは難しい状況だったと言えるでしょう。」(松岡氏)

証券会社の乗り換え、そのメリット・デメリット

還元率の低下を受け、証券会社の乗り換えを検討する投資家もいるかもしれません。しかし、NISA口座の移管には注意が必要です。金融庁のルールでは、NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか開設できません。そのため、他の証券会社に移管する場合、既存のNISA口座を解約し、新しい証券会社でNISA口座を開設する必要があります。

NISA口座の移管NISA口座の移管

NISA口座の解約は、保有している投資信託を売却するか、特定口座に移管する必要があります。売却すると非課税の恩恵を受けられなくなる可能性があり、特定口座に移管するとNISA枠が復活しないため、注意が必要です。

「証券会社の乗り換えは、手数料やサービス内容だけでなく、長期的な視点で慎重に検討する必要があります。安易な乗り換えは、かえって損失につながる可能性もあるため、十分な情報収集とシミュレーションが不可欠です。」(松岡氏)

今後の投資戦略はどうあるべきか?

クレカ積立の還元率低下は、投資家にとって残念な出来事ですが、NISA制度のメリットがなくなるわけではありません。長期投資というNISAの本来の目的を忘れずに、市場の動向を冷静に見極めながら、適切な投資判断を行うことが重要です。

「ポイント還元率に惑わされず、投資信託そのもののパフォーマンスや手数料、そしてご自身の投資目標に合った商品選びを心がけてください。」(松岡氏)

新NISAは長期的な資産形成を支援する制度です。短期的な変動に一喜一憂せず、冷静な投資判断を心がけましょう。