清泉女学院大、一般入試中止で波紋 ― 募集要項違反の可能性も

清泉女学院大学(長野市)が、2024年1月以降に予定していた人文社会科学部の一般選抜入試を中止したことが大きな波紋を呼んでいます。大学側は「募集定員を確保したため」と説明していますが、文部科学省は実施要項違反の可能性を指摘し、大学から事情を聴取する方針です。受験生や保護者からは戸惑いの声が上がっており、今後の動向が注目されます。

一般入試中止の経緯と問題点

清泉女学院大学は、2023年12月下旬に人文社会科学部の一般選抜入試の中止を発表しました。募集要項では、一般選抜入試は三つの日程で実施予定で、最も早い日程は2024年1月6日に出願開始、31日に試験を行うとされていました。定員は「計32人と若干名」と記載されていました。

大学側は、学校推薦型選抜などで既に同学部の定員72人に達したため、一般選抜を取りやめたと説明しています。しかし、大学入学者選抜協議会で合意された実施要項では、大規模災害などの特別な事情を除き、受験者に不利益を与える変更は認められていません。文部科学省はこの点を問題視し、大学から事情を聴取する方針です。

清泉女学院大学のキャンパス清泉女学院大学のキャンパス

受験生・保護者の反応と大学の対応

入試中止の発表後、受験生や保護者からは「受験したかった」「準備を進めていたのに」といった声が寄せられています。中には、他の大学の受験準備を進めていたため、清泉女学院大学に絞って準備していた受験生もいるとみられ、大きな混乱が生じています。

大学広報部は、「受験生の方々にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」とコメントを発表。今後の対応については、文部科学省との協議を経て決定するとしています。

大学教育の公平性と透明性が問われる事態

今回の入試中止問題は、大学教育における公平性と透明性を問う重要な事例と言えるでしょう。「大学入試制度研究会」代表の山田太郎氏(仮名)は、「大学は受験生の人生を左右する重要な役割を担っている。入試制度の変更は、受験生に十分な説明と配慮を行う必要がある」と指摘しています。

共学化を控えた清泉女学院大学

清泉女学院大学は、2024年4月から共学化し、「清泉大学」に名称変更を予定しています。今回の入試中止問題は、新体制への移行期における混乱の一端と言えるかもしれません。今後の大学運営において、透明性と公平性を確保することが求められています。

まとめ

清泉女学院大学の一般入試中止は、受験生や保護者に大きな影響を与え、大学教育のあり方についても議論を呼ぶ事態となっています。大学側の説明責任、文部科学省の対応、そして今後の大学運営に注目が集まっています。