ウクライナ保安庁(SBU)は3日、ウクライナ南部クリミア半島とロシア本土をつなぐケルチ橋(クリミア大橋)の、水中にある橋脚部分を爆破したと発表した。「数カ月間」にわたり計画を進めていたという。
SBUは、TNT火薬1100キロ相当を「橋の支柱に仕掛け」、支柱の下部に「深刻な損傷」を与えたと説明した。
また、「最初の爆破装置」の爆発による「民間人の死傷者はなかった」と付け加えた。SBUの公表情報について、すぐには検証できていない。
ロシア・メディアは当初、ケルチ橋が一時通行停止になったと報じた。3日午前10時までに通行止めは解除された。
ソーシャルメディア上の未確認情報によると、橋の周辺でさらに複数回の爆発が起きたとされる。
ケルチ橋の運用状況に関する公式テレグラム・チャンネルは、「橋の上や、検査区域にいる人は冷静を保ち、運輸保安当局の指示に従ってください」と呼びかけている。
3日朝の爆破について、ロシアはこれまでのところコメントしていない。ロシアの軍事ブロガーの間では、爆発物ではなく水中ドローンが防護壁に衝突したのではないかとの憶測が出ている。
SBUによると、ヴァシル・マリュクSBU長官が自ら作戦を監督し、計画を調整したという。
マリュク長官は、ウクライナは2022年と2023年にケルチ橋を攻撃した経験があり、「このやり方を水中で継続している」と、テレグラムに投稿した。
「ロシアの違法な施設が、我が国の領土に存在する余地はない」、「したがって、クリミア大橋は完全に正当な標的だ。敵国がその部隊の補給路として使用していたことを考慮すればなおさらだ」と、マリュク長官は主張した。
ケルチ橋は2014年にロシアがクリミア半島に侵攻し、一方的に併合した後に建設された。2018年には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による盛大な開通式が行われた。
ウクライナでは、この橋はロシアの占領に対する国民の憎悪の象徴になっている。対するロシアは橋に厳重な警備を敷いている。そのため、今回使用されたのが水中ドローンなのか爆発物なのかに関わらず、実際に攻撃を仕掛けたこと自体が驚異的な成果といえる。
橋への攻撃の約48時間前には、ウクライナは「クモの巣」と名付けた作戦の一環として、ロシア国内の複数の標的を攻撃した。
ウクライナは、100機を超えるドローンをロシア国内へひそかに運び入れた。無警戒なドライバーが運転するトラックで、ロシア空軍基地の近くまで運んだという。
ドローンはトラックの荷台から飛び出し、ロシア各地で戦略爆撃機などを攻撃した。
(英語記事 Ukraine says it hit Crimea bridge with underwater explosives)
(c) BBC News