韓国次期大統領選、水面下で既にスタート?与野党の戦略を読み解く

韓国政界では、尹錫悦大統領に対する捜査の進展とともに、次期大統領選への動きが活発化しています。本記事では、与野党それぞれの戦略や現状、そして今後の展望について詳しく解説します。

民主党:民生重視を掲げつつ、水面下で選挙準備を着々と

民主党は、表向きには民生問題への注力を強調しています。陳声準政策委議長は国会での民生・経済再生への集中を訴え、李在明代表も同様の発言をしています。

altalt(韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表)

各種世論調査で李代表が次期大統領候補として優位に立っていることから、現時点では積極的な選挙活動は控えているようです。しかし、水面下では選挙準備が加速しているとの情報もあります。首都圏選出のある議員は、「大統領選挙に向けた準備は怠るべきではない」と述べ、他の議員も情報交換や役割分担の議論が進んでいることを明らかにしました。

李代表の支持率が30%台で停滞している現状を踏まえ、民生重視の姿勢をさらに強化し、支持層拡大に図るべきだという意見も出ています。政策に精通したベテラン議員は、「実力のある政党としての姿を国民に見せる必要がある」と強調しました。李代表自身も、金融政策や民生対策に関する動きを活発化させています。例えば、8日には企画財政部や韓国銀行の関係者と国会で外国為替市場の点検を行うなど、政策への関与をより積極的にアピールしています。

国民の力:「反李在明」を掲げ、攻勢へ

一方、国民の力は李在明代表への攻撃を強めています。「反李在明」感情を煽ることで、支持率の回復を図ろうという戦略です。

党関係者によると、国民の力は近日中に「李在明が作る世の中」と題したシリーズを開始する予定で、李代表の司法リスクを徹底的に追及する方針です。現在5つの裁判を抱え、8つの事件で12の容疑が持たれている李代表の弱点を突く狙いがあるとみられます。

国民の力が李代表への攻撃を強める背景には、戒厳事態以降、約1ヶ月で早期回復した支持率があります。李亮寿事務総長は、「反李在明」感情が最近の世論調査に反映されていると分析し、「李在明否定論」を展開する考えを示しました。

16日に発表された全国指標調査(NBS)では、国民の力の支持率が35%と民主党の33%を誤差範囲内で上回りました。国民の力が民主党をリードしたのは昨年9月以来初めてです。

特に注目すべきは、民主党の有力な大統領候補である李代表の次期大統領適合度(28%)が、「政権交代」を求める回答(48%)よりも低い点です。国民の力の幹部は、「尹大統領と李代表の対立構造は終わり、これからは李代表の真の姿を国民に伝える時だ」と述べています。 (※詳しい内容は中央選挙世論調査審議委公式サイト参照)

今後の展望:混沌とする政局、次期大統領選の行方は?

このように、韓国政界は混沌とした状況にあります。民主党は民生重視をアピールしつつ、水面下で選挙準備を進めており、国民の力は「反李在明」を掲げて攻勢を強めています。今後の政局の行方、そして次期大統領選の行方は、まだまだ不透明な状況です。今後の動向に注目が集まります。