首相就任後初の東南アジア外遊で、石破茂首相は厳しい現実に直面したようだ。マレーシアとインドネシアを訪問した今回の外遊は、歓迎ムードとは程遠いものだったという。一体何が起こっているのだろうか。
APECでの失態が影を落とす?
外務省関係者によると、今回の外遊に際し、政府関係者は冷や汗をかきっぱなしだったという。その原因は、昨年11月のAPEC首脳会議での石破首相の振る舞いにあるようだ。マレーシアのアンワル首相との握手に座ったまま対応したり、インドネシアのプラボウォ大統領の隣でスマホをいじったりする姿が目撃され、失礼な印象を与えてしまったというのだ。
APEC首脳会議での石破首相の様子。
これらの失態は既に相手国にも伝わっており、歓迎ムードを削ぐ一因となったと見られる。外務省関係者は「相手国の担当者にも『くれぐれも、今回は失礼のないようにしてください』と釘を刺されてしまった」と明かしている。
インドネシアからは経済援助への期待?
今回の外遊では、高速警備艇の無償供与や無償給食プログラムへの協力などで合意に至ったものの、成果は限定的だったようだ。全国紙特派員によると、インドネシア側は「とにかく日本からカネや援助を引き出したい」という思惑が強く、記者対応も最低限、プラボウォ大統領からも笑顔は見られなかったという。
インドネシアのプラボウォ大統領との会談の様子。
「相手の要求を聞くだけでなく、こちらの要求をどう飲ませるかが重要」と語る自民党閣僚経験者の言葉通り、トップセールスという観点からも、今回の外遊は成功とは言えないだろう。国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「新興国との外交においては、相互利益を明確にすることが重要だ。日本側のメリットを強調しつつ、相手国のニーズにも応えるバランス感覚が求められる」と指摘する。
外交手腕に不安の声も
APECでの失態や今回の東南アジア外遊での低調な成果を受け、石破首相の外交手腕に不安の声が上がっている。特に、来月に予定されている米トランプ次期大統領との会談では、どのような結果となるのか、注目が集まっている。
東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係強化は、日本の外交戦略において重要な位置を占める。石破首相は、今後の外交課題にどう向き合っていくのだろうか。