武庫川女子大学、2027年度めどに共学化へ 少子化に対応し経営安定化目指す

兵庫県西宮市に位置する武庫川女子大学を運営する学校法人が、2027年度を目途に同大学を共学化する方針を固めたことが、複数の大学関係者への取材で明らかになりました。これは、学生数9000人超を擁し、女子大学としては全国最大規模である同大学が、18歳人口の継続的な減少という厳しい環境下で、将来的な規模維持と経営の安定化を図るための重要な判断とみられます。

関係者によると、今月上旬に行われた全学教授会において、大学理事会の方針として2027年度からの武庫川女子大学の共学化が伝えられました。設備の改修などの準備状況によっては、一部の学部では共学化が2028年度以降となる可能性もあるとされています。大学側は、この方針について近く正式に公表する予定です。

武庫川女子大学の現状と背景

武庫川女子大学は1949年に開学しました。今年5月1日現在の学生数は9635人となっています。2010年代以降、看護学部、教育学部、建築学部などを新設するなど、時代の要請に応じた学部展開を進めてきました。現在は、文学部、薬学部、社会情報学部、経営学部など、合わせて13学部を設置しています。なお、大学院については既に共学となっています。

厳しさを増す18歳人口と女子大学の経営環境

大学を取り巻く環境、特に18歳人口は年々減少の一途をたどっています。文部科学省が今年1月に発表した資料によると、2023年の18歳人口は約109万人でしたが、2035年には100万人を割り込む96万人、そして2040年には74万人にまで減少すると推計されています。この急激な18歳人口減少は、特に女子大学にとって厳しい経営環境をもたらしています。

実際に、近年、女子大共学化や学生募集停止といった動きが全国で見られています。例えば、京都市にある京都ノートルダム女子大学は、2026年度以降の学生募集停止を発表しました。また、神戸市の神戸松蔭大学や名古屋市の名古屋葵大学は、今春に共学化を実施しています。このような状況は、少子化が大学経営に与える影響の大きさを物語っています。

武庫川女子大学が共学化へ踏み切る理由

武庫川女子大学は現在、定員充足率が約95%と高く、経営状態も良好とされています。しかし、将来的に予測される18歳人口のさらなる大幅な落ち込みが本格化する前に、先手を打って共学化による経営基盤の安定化を目指す判断に至ったとみられます。女子大学としての歴史と伝統を持つ一方で、持続可能な大学経営のために、時代の変化に対応する必要があると判断したと言えるでしょう。

兵庫県西宮市にある武庫川女子大学の美しくライトアップされたキャンパス夜景兵庫県西宮市にある武庫川女子大学の美しくライトアップされたキャンパス夜景

今後の見通しと影響

武庫川女子大学の共学化は、関西地方における大学勢力図にも影響を与える可能性があります。女子大学最大規模である同大学の共学化は、受験生にとっては新たな選択肢が増えることを意味します。大学側は今後、正式な発表を経て、詳細な計画を明らかにしていくものとみられます。この大きな転換が、同大学の教育内容やキャンパスライフにどのような変化をもたらすのか、注目が集まります。

本記事は複数の大学関係者への取材に基づいています。