コンビニ化するメンタルクリニック:その実態と課題

メンタルヘルスの重要性が叫ばれる現代、気軽に相談できる場として精神科クリニックの存在は欠かせません。しかし、その数は近年爆発的に増加し、まるでコンビニエンスストアのように街の至るところで見かけるようになりました。果たして、この急増は患者にとってメリットなのでしょうか?本記事では、精神科クリニックのコンビニ化の実態と課題、そして患者が安心して受診できるクリニック選びのポイントについて、専門家の意見を交えながら解説します。

精神科クリニックの急増:背景と問題点

精神科クリニックのイメージ画像精神科クリニックのイメージ画像

厚生労働省の統計によると、精神科クリニックの数は年々増加の一途を辿り、精神障害を抱える人も増加傾向にあります。需要と供給のバランスが取れているように見えますが、その実態は必ずしもそうではありません。短期間で次々と分院を開設するクリニックが登場し、質の低い医療を提供するケースも少なくないのです。

臨床歴30年以上のベテラン精神科医A氏は、あるクリニックでの経験を語ります。「5分以内の診療時間制限、1時間に8人の診察ノルマ、そして患者への依存性の高い抗不安薬の処方。患者一人ひとりに寄り添う医療とは程遠い状況でした」。精神療法のトレーニングを十分に受けていない医師による、対症療法的な薬物処方のみの診療は、患者の真の回復を阻害する可能性があります。

患者不在の医療:利益追求の実態

都内のクリニックでカウンセラーとして勤務していたBさんは、高額な心理検査や無資格カウンセラーによるカウンセリング、そして常勤医不在の体制など、患者不在の医療現場を目の当たりにしました。「まるで利益追求のためのビジネスのようでした」とBさんは語ります。

診療歴30年の精神科医・原井宏明氏はこの現状について、「精神科は他科に比べて訴訟リスクが低く、開業費用も抑えられるため、新規参入しやすい分野」と指摘します。患者数の増加も相まって、ビジネスチャンスと捉える医師もいるようです。

安心して受診できるクリニック選びのために

診察室のイメージ画像診察室のイメージ画像

では、患者はどのようにして安心して受診できるクリニックを選べばよいのでしょうか?

専門家のアドバイス:丁寧な問診と説明を重視

原井宏明氏は、「丁寧な問診と分かりやすい説明をしてくれる医師を選ぶことが重要」とアドバイスします。患者の話をじっくり聞き、治療方針について丁寧に説明してくれる医師は、信頼できる指標となるでしょう。また、セカンドオピニオンを活用することも有効です。

患者の声:口コミサイトも参考に

インターネット上の口コミサイトもクリニック選びの参考になります。ただし、全ての情報が正確とは限らないため、複数のサイトを比較検討し、客観的に判断することが大切です。

まとめ:患者中心の医療の実現に向けて

精神科クリニックのコンビニ化は、患者にとって必ずしも良いことばかりではありません。質の高い医療を提供するクリニックと、利益追求に走るクリニックを見極める必要があります。患者一人ひとりのニーズに寄り添い、真の回復を支援する医療の実現に向けて、私たち一人ひとりが意識を高めていくことが重要です。