ぐんまちゃん公式X投稿が政治示唆と波紋、謝罪へ

群馬県のマスコット「ぐんまちゃん」の公式Xアカウントが、特定の政党への支持を示唆しているかのような投稿を行い、物議を醸している。この投稿は後に削除され、別の公式アカウントが謝罪に至った。公的キャラクターによるSNS発信における表現のあり方が問われている。

問題となった投稿の詳細

波紋を広げたのは、2025年7月13日にぐんまちゃんの公式Xアカウントに投稿された写真とコメントだ。投稿された写真には、ぐんまちゃんとオレンジ色のジャケットを着用したスタッフ2名が後ろ姿で並び、左こぶしを突き上げるポーズをとっている様子が写っていた。この写真には「この県(くに)を愛して何が悪い!! 」というコメントが付されていた。

参院選中に問題視された、ぐんまちゃん公式Xからの投稿写真。オレンジ色のスタッフとともにこぶしを上げて立つぐんまちゃんの姿。参院選中に問題視された、ぐんまちゃん公式Xからの投稿写真。オレンジ色のスタッフとともにこぶしを上げて立つぐんまちゃんの姿。

波紋と批判の背景

この投稿が、特定の政党、特に参政党への支持を示唆しているのではないかとの解釈が広がり、波紋を呼んだ。その理由として、参政党のイメージカラーがオレンジであること、参政党が参院選で掲げたスローガン「日本人ファースト」を連想させる「この県(くに)を愛して何が悪い!! 」という表現が含まれていたこと、そして投稿が参院選の選挙期間中に行われたことなどが指摘された。選挙期間中の公的アカウントによる政治的な連想を招く可能性のある投稿に対し、批判の声が上がった。また、これまでぐんまちゃんの公式Xアカウントにスタッフが登場することは珍しいと受け止められた点も、注目を集めた要因の一つとなった。

県担当課の公式説明と削除

この件について、ぐんまちゃんを担当する群馬県知事戦略部エンターテインメント・コンテンツ課はJ-CASTニュースの取材に対し、問題の投稿は人気アニメのオマージュとして作成されたものだったと説明した。政治的な意図はなかったとしている。しかし、波紋が広がったことを受け、該当の投稿は14日までに削除された。なお、ぐんまちゃんの出演情報などを発信する別の公式Xアカウント「ぐんまちゃん公式情報」では、イベント写真などでスタッフが写り込むことが以前から確認されていた。スタッフは確かにオレンジ色のジャケットやパーカーを着用している。

「ぐんまちゃん公式情報」アカウントの謝罪

14日朝、別の公式アカウントである「ぐんまちゃん公式情報」が、今回の投稿問題について正式に謝罪を行った。投稿では、「選挙期間中であるにもかかわらず、一部の方に特定の政党を支持しているかのような誤解を招く表現となってしまいました。配慮が足りず、誠に申し訳ございません」と述べ、誤解を与えたことを陳謝した。さらに、この投稿には政治的な意図は一切なかったことを強調し、スタッフの登場は演出の一部であったと説明。スタッフが着用していたオレンジ色のパーカーについては、10年以上前からぐんまちゃんキャラバン隊の制服として使用しているものであり、今回の投稿のために新たに用意したものではないと釈明した。

結び

一連の出来事は、公的な立場のマスコットキャラクターがSNSで情報発信する際の表現の難しさ、特に選挙期間のような政治的に敏感な時期における配慮の重要性を改めて浮き彫りにした。たとえ政治的な意図がなかったとしても、特定の政党の色やスローガンを連想させる表現は、誤解を招きやすく、大きな波紋を呼ぶ可能性がある。今回のぐんまちゃんの件は、今後の公的アカウントによる情報発信において、意図せぬ政治的示唆と受け取られないよう、より一層の注意が必要であることを示唆する事例となった。

出典:Yahoo!ニュース / J-CASTニュース