英国で新型コロナウイルス流行後、飲酒を原因とする死亡者数が「悲惨なほど増加」(英BBC放送)していることが最新の統計で判明した。英メディアが伝えた。
BBCによると、英国の人口の8割を占めるイングランドでは2023年、8200人以上がアルコール性肝疾患などで死亡した。コロナ禍前の19年に比べ、4割以上の増加という。
イングランド以外の地域でも死者は増加しており、大半は男性という。
背景には、コロナ禍でパブなどの飲食店が一時的に閉鎖された結果、自宅で酒を飲み過ぎてしまう人が急増したことが考えられるという。
一方、生活費高騰によるストレスが原因との見方もある。
アルコール依存症の専門家はBBCに「経済危機で節約に走る人もいるが、逆にストレスのせいで飲酒量が増える人もいる」と分析した。
北部スコットランドでは近年、アルコール飲料の最低価格が引き上げられており、健康推進団体は「これが病気を減らすことに効果的」と主張している。
英政府は今後、病気への対応に加え、「予防」に力を入れた保健対策を推進するとしている。【ロンドン篠田航一】