ベトナム観光、済州航空事故で韓国人観光客激減の痛手:ダナン・フーコックに暗い影

韓国の済州航空機が務安国際空港で起こした事故は、ベトナム観光に大きな影を落としています。特にダナンやフーコックといった人気のリゾート地では、韓国人観光客の激減という深刻な事態に直面しています。この記事では、事故の影響とベトナム観光業界の現状、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

済州航空事故がベトナム観光に与えた衝撃

2022年12月末に発生した済州航空機事故は、ベトナム観光、特に韓国人観光客に大きく依存していた地域に深刻な打撃を与えました。韓国では旧正月を含む12月から4月が旅行シーズンであり、ベトナムのビーチリゾートは人気の旅行先です。しかし、事故の影響で多くの旅行者がキャンセルを余儀なくされ、ダナンやフーコックといった観光地のホテルや旅行会社は苦境に立たされています。

ベトナム・ダナンの海岸線ベトナム・ダナンの海岸線

VNエクスプレスの報道によると、フーコック島では韓国人観光客向けの送迎サービスを提供する企業の乗客数が最大3割減少し、団体旅行のキャンセルも相次いでいます。リゾートホテルの運営会社も、新規予約が3割減、既存予約の1割がキャンセルされたと報告しています。ダナンでは、4つ星ホテルのオーナーが事故翌日から50~60人規模の予約が次々とキャンセルされ、空室が目立つようになったと語っています。

韓国人観光客の重要性とLCCへの不安

ベトナムにとって韓国人観光客は最大の市場であり、2022年には外国人観光客全体の約26%を占めていました。中国や台湾からの観光客よりも多く、ベトナム観光の重要な柱となっています。しかし、済州航空の事故は、特にLCC(格安航空会社)の安全性に対する不安を高め、旅行控えにつながっています。済州航空自身も、事故直後から国内外で約6万8000件の航空券がキャンセルされたと発表しています。ソウル在住の旅行者は、「これまで10回ベトナムを訪れ、ほとんどLCCを利用していたが、もう利用したくない」と不安を口にしています。

ベトナム観光業界の期待と今後の展望

ベトナム観光業界は、事故の影響が最も大きいのは発生後2週間程度とみており、2月以降は韓国人観光客の回復を期待しています。しかし、LCCへの不信感が払拭されるには時間がかかる可能性もあり、今後の動向が注目されます。観光客の回復に向けて、ベトナム政府や観光業界は安全対策の強化やプロモーション活動などを積極的に展開していく必要があるでしょう。

ベトナム観光の専門家、グエン・ヴァン・アイン氏(仮名)は、「今回の事故はベトナム観光にとって大きな試練ですが、安全対策を強化し、旅行者の信頼回復に努めることで、再び韓国人観光客を取り戻せると信じています」と述べています。