札幌ススキノ殺人事件:父親の裁判で浮かび上がるLINE履歴の闇、計画性の有無が焦点に

2023年7月、札幌・ススキノのホテルで起きたショッキングな殺人事件。被害男性の頭部が自宅に持ち帰られ、目玉がくり抜かれるという凄惨な状況に、日本中が震撼しました。逮捕された田村瑠奈被告とその両親、修被告と浩子被告。この事件は一体どのようにして起きたのか、そして家族の関与は?現在、修被告の裁判員裁判が札幌地裁で行われており、事件の真相解明が待たれています。この記事では、裁判で明らかになったLINEのトーク履歴や不自然な削除痕跡、そして事件の計画性について深く掘り下げていきます。

浮かび上がる家族の不審なやりとり

事件の鍵を握る一つとして、家族間のLINEのトーク履歴が注目されています。裁判で提示された履歴からは、一見普通の日常会話が繰り広げられている一方で、事件に関連すると見られる不穏なやりとりも存在していました。

「ディスカッション」の真意とは?

裁判では、犯行2週間前の6月18日、瑠奈被告が母親を通して修被告に「ディスカッション」を求めていたことが明らかになりました。そして翌日、修被告は瑠奈被告と共にノコギリや手袋などを購入。その後もハイターやキャリーケース、折りたたみナイフなど、事件で使用されたとされる物品を次々と購入していたのです。

altalt

さらに事件直前の6月27日と28日には、浩子被告から修被告へ「今からディスカッションしたいから上に来て」というLINEが送られていたことが判明。検察側は、この「ディスカッション」がAさん殺害計画と関連していると主張しています。一体、家族は何を話し合っていたのでしょうか?

消されたトーク履歴の謎

逮捕後、修被告と浩子被告のスマホからLINEの履歴を抽出したところ、部分的にトーク履歴が削除されていたことが判明。修被告は浩子被告から送られた「エタノール3本買っておきました」「鹿(瑠奈被告によるAさんの呼称)がいるかクラブに短時間潜入捜査するの可能ですか」「(瑠奈被告が)瓶とか氷砂糖とか高濃度アルコールとか売ってるかなとおっしゃっております」といったメッセージを削除。さらに、修被告が送信した「(瑠奈被告が)つまらないと申しており運転中叩かれ首絞められた」という娘の様子に関するメッセージも削除されていたのです。

浩子被告のスマホからも、「文字入力履歴」を抽出した結果、「そういえば車のGPS記録残りますか」「鹿がいるかクラブに短時間潜入捜査するのは可能ですか」といったトークを消した痕跡や、「鹿」と入力する前に「獲物」と入力していた痕跡が見つかりました。犯罪心理学の専門家、山田教授(仮名)は、「これらの削除行為は、事件への関与を隠蔽しようとする意図の表れと考えられる」と指摘しています。

事件の計画性、そして今後の裁判の行方

これらのLINE履歴や削除痕跡は、事件の計画性を示唆する重要な証拠となる可能性があります。修被告の弁護側は、「瑠奈被告が頭部を持ち込んだ時点で犯罪は終了しており、自宅に遺体があるまま生活していたことは死体遺棄ほう助にあたらない」「撮影は瑠奈被告の犯行を促進させたとは言えないため、死体損壊ほう助にもあたらない」と無罪を主張しています。しかし、検察側はこれらの不自然な行動やLINEのやりとりから、修被告が事件に関与していたと見ており、今後の裁判でさらに激しい攻防が予想されます。

この事件は、家族の闇、そして現代社会におけるコミュニケーションツールの影響など、様々な問題を提起しています。今後の裁判の行方を見守りつつ、事件の真相究明が進むことを願うばかりです。