2025年10月28日、高市早苗首相は6年ぶりに来日したドナルド・トランプ前米大統領との初の首脳会談に臨んだ。東京・元赤坂の迎賓館で、両首脳は固い握手を交わし、記念撮影に応じた。この会談でトランプ氏が見せた異例の“変化”に、日本国民からは日米関係の新たな進展への期待が寄せられている。特に注目を集めたのは、その表情が以前の会談時とは明らかに異なっていた点だ。
迎賓館で握手を交わす高市早苗首相とドナルド・トランプ前米大統領
「石破首相とは大違い」SNSで拡散されたトランプ氏の“笑顔の変化”
今回の会談におけるトランプ氏の朗らかな笑顔は、SNS上で大きな反響を呼んだ。「トランプの高市と石破に対する態度が違いすぎて草」「トランプが親戚のおじさんみたいな優しい笑顔になっとるww 石破首相のときとはえらい違いだ」「石破さんのときと全然態度や対応が違って面白いな。石破さんのことホントに興味なかったんだな。高市さんの力で色々変わって欲しいな」といったコメントが多数投稿され、2025年2月にホワイトハウスで行われた石破茂前首相との会談時の硬い表情との“変化”が比較された。実際にトランプ氏は、同年9月に石破氏が辞任の意向を表明した際、「全く知らない」とそっけないコメントを返している。
石破氏は同年7月23日、米国による「トランプ関税」と呼ばれる関税措置の協議で合意に至ったと報告。日本の対米相互関税を「25％」から「15％」に引き下げる“成果”を強調したものの、その一方で日本は5500億ドル（約83兆円）もの対米投資を約束させられる結果となった。さらに、この貿易協定における利益配分は「90％を米国、10％を日本」と、日本にとって極めて不平等とも言える内容だった。
「カネを出す都合の良い国」から脱却へ？日本外交の課題
経済問題に詳しいある政治ライターは、石破氏や岸田文雄前首相の外交政策に対し、「アメリカだけでなく諸外国への“バラマキ”政策で培われた友好関係を“外交”と捉える節があった」と指摘している。この「カネを出す都合の良い国」という国際的な日本のイメージは、各国首脳と対等な関係を構築できない「首相の外交力」が影響しているとの懸念が示されてきた。今回のトランプ氏の笑顔から汲み取れる国民の期待値は、石破政権時よりも高市政権への期待が上回っていることを示唆していると言えるだろう。
安倍元首相の「遺産」：トランプ氏が高市首相に抱く信頼
実は、トランプ氏は来日前に現地メディアの取材に対し、高市氏を「素晴らしいリーダーになる」と高く評価していた。その理由として、「彼女は偉大な人物であった安倍前首相の良き友人です。ご存知の通り、私にとっても（安倍前首相は）とても大切な友人でした。彼は本当に素晴らしい人物でした。そして彼女（高市首相）のことを高く評価していました」と語っている。
互いを「ドナルド」「シンゾー」とファーストネームで呼び合うなど、日米トップ同士の関係にとどまらない深い友人関係を築いていたトランプ氏と故・安倍晋三元首相。トランプ氏は、生前の安倍元首相から自身の「後継者」として高市首相の人となりを聞かされており、実際に顔を合わせる前から、既に「友人」関係に近い信頼を寄せていたようだ。
新たな日米貿易交渉の可能性：トランプ氏の「オープンな対応」
さらにトランプ氏は、仮に高市首相から「貿易条件」の見直しを提案された際にも言及。「彼女がそう提案するのならば、私はオープンに対応しますよ。日本とは素晴らしい関係を築いてきましたし、新首相である彼女とも素晴らしい関係を築けるでしょう」と前向きな姿勢を示した。これは、過去の不平等な貿易協定が見直される可能性を示唆する発言として注目される。
会談前には、両者が大谷翔平投手らが出場するロサンゼルス・ドジャース対トロント・ブルージェイズのワールドシリーズを観戦していたという。今回の初会談を経て、トランプ氏が帰国する頃には、高市首相とトランプ氏が互いをファーストネームで呼び合うような、さらに親密な関係が築かれているかもしれない。
今回の高市首相とトランプ氏の会談は、トランプ氏の異例の友好的な姿勢が示された点で、日米関係の新たな展開を予感させるものとなった。これは、故・安倍晋三元首相が築き上げたトランプ氏との深い信頼関係が、高市首相という形で受け継がれている証左とも言える。不平等な貿易条件や「バラマキ外交」からの脱却を目指す日本にとって、高市首相のリーダーシップと「友人」関係に裏打ちされた外交手腕が、今後の国際情勢において重要な役割を果たすことが期待される。
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