中国が、2024年から2035年までの教育強国構築を目指す計画を発表しました。少子化が進む中国において、この計画はどのような未来を描いているのでしょうか？本記事では、計画の要点と今後の中国教育の展望について詳しく解説します。
世界最高水準の教育システム確立を目指す中国の戦略
中国共産党中央委員会と国務院が発表したこの計画は、「世界最高水準」のアクセスと質を持つ「質の高い教育システム」の確立を目標としています。教育開発の調整、技術革新の効率向上など、まさに「教育強国」建設に向けた意欲的な内容となっています。
中国・内モンゴル自治区の小学校の様子
人口減少が続く中国において、教育への投資は未来への投資と言えるでしょう。若者の結婚・出産への躊躇、雇用の不安定さ、経済の減速といった社会課題に対し、教育改革はどのような役割を果たすのでしょうか？
教育改革の柱：無償教育拡大、人材育成強化
計画では、無償教育範囲の段階的拡大、学齢人口変化の監視システム確立、小中学校と幼稚園の配置最適化などが検討されています。これらは、教育へのアクセス向上と、変化する人口動態への対応を目的とした施策です。
大学教育においては、「質の高い」学部生の入学増加、大学院教育の拡大、博士課程学生の割合増加が掲げられています。高度人材の育成は、中国の科学技術発展を支える重要な戦略です。 東京大学教育学研究科の山田教授（仮名）は、「中国の高等教育への投資は、国際競争力を高めるための重要な戦略です。特に、博士課程人材の育成は、今後の科学技術イノベーションの鍵となるでしょう」と述べています。
生徒の心身の健康にも注力
学力向上だけでなく、生徒の心身の健康にも焦点が当てられています。小中学生には毎日少なくとも2時間の身体活動を義務付け、近視や肥満対策にも取り組むとしています。
さらに、メンタルヘルス教育の普及、全国的なメンタルヘルス監視・早期警告システムの確立も進められます。子どもたちの健やかな成長を支える包括的な教育環境の整備が目指されています。
都市部と農村部の教育格差是正へ
教育の地域格差是正も重要な課題です。農村部の小規模学校の運営改善、障害を持つ子どもや農業移民の子どものケアシステム改善など、すべての子どもたちに平等な教育機会を提供するための取り組みが強化されます。
就学前教育へのアクセス向上のため、幼稚園の定員も着実に増やす方針です。早期教育の充実も、教育強国実現への重要なステップとなるでしょう。
まとめ：教育強国を目指す中国の未来
中国の教育強国計画は、未来への投資であり、社会課題解決への重要な一歩です。世界最高水準の教育システム構築に向けた、中国の今後の動向に注目が集まります。
