イスラエル・イラン停戦、トランプ氏がガザ停戦に圧力強化「来週中に」

イスラエルとイランの停戦が実現したことを受け、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとイスラム組織ハマスの早期戦闘終結に向けた動きが加速している。この流れをガザ情勢と連動させたい意向を持つトランプ米大統領は、ガザ停戦実現への圧力を強めている。

トランプ氏は27日、記者団に対し「来週中にも(ガザで)停戦すると思う」と述べた。これは、イスラエルに対し戦闘終結へ向けた具体的な対応を促す狙いがあるとみられる。

イスラエルのネタニヤフ首相とトランプ氏が、ガザでの戦闘停止を含む中東戦略に関する「基本原則」で合意したと、イスラエル紙イスラエル・ハヨムが報じた。報道によれば、この合意は米軍によるイラン核施設空爆直後の電話会談で交わされたという。この「野心的構想」とされる基本原則には、停戦後のガザをエジプトなど中東4カ国が管理すること、ハマスによるイスラエル人質全員の解放、ハマス幹部のガザからの追放、そして「国際法違反」との批判があるガザ住民の域外移住などが含まれているとされる。しかし、ハマスや関係各国がこの原則案をそのまま受け入れるかは依然として不透明だ。

トランプ大統領とネタニヤフ首相会談:ガザ停戦に向けた米イスラエル間の協議トランプ大統領とネタニヤフ首相会談:ガザ停戦に向けた米イスラエル間の協議

2023年10月に始まったイスラエル軍によるガザでのハマス掃討作戦は、泥沼化の様相を呈している。ガザでの犠牲者は5万6000人を超え、国際社会からの非難は止まない。ネタニヤフ首相は、戦闘長期化と人質奪還の遅れから、イスラエル国内でも強い批判にさらされている。

だが、宿敵イランへの攻撃に対する国内世論の支持は70%に上り、欧米もこれをイスラエルの自衛権行使として容認した。ネタニヤフ首相は、イランへの「勝利」で国内が高揚しているこの機にガザ情勢も収束させられれば、政権内の対ガザ強硬派の反対を抑え込めると判断している可能性がある。加えて、イラン攻撃への参加で恩を売ったと見なせるトランプ氏からのガザ停戦圧力は、無視できない要因となっている。

一方、ハマスの今後の動向について、エジプトのアルアハラム政治戦略研究所のサイード・オカシャ氏は、厳しい停戦条件が提示されれば態度を硬化させる可能性があると指摘する。しかし、対イスラエルにおけるハマスの主要な支援者であったイランが今回の事態で弱体化した現状を踏まえれば、「(ハマスが)合理的に判断すれば、停戦は実現する」と分析しており、合意に至る余地があるとの見方を示している。

イスラエルとイランの間の緊張緩和は、ガザでの戦闘終結に向けた新たな可能性を開いた。トランプ米大統領による圧力と、イスラエル・ハマス双方を取り巻く状況変化は停戦交渉を加速させる要因となり得る。しかし、特にハマスやアラブ諸国が受け入れ難いとされる詳細な条件が提示されている現状では、その実現には依然として多くの課題が残されている。

【引用元】

  • AFP時事 (画像)
  • 時事通信 (記事本文)
  • イスラエル・ハヨム紙 (報道引用)
  • アルアハラム政治戦略研究所 (専門家コメント引用)