漫画家・棚園正一さんは、9年間もの不登校経験を乗り越え、現在活躍されています。棚園さんは自身の経験を元に、講演活動を通して子どもたちや保護者に希望のメッセージを届けています。この記事では、棚園さんの不登校時代、鳥山明さんとの運命的な出会い、そして未来への希望について詳しくご紹介します。
小中学校時代、9年間の不登校
棚園さんは小学1年生の時、学芸会の練習で台本の読み合わせについていけず、先生に頬を叩かれたことがきっかけで不登校になりました。その後、家では自分で時間割を作って勉強したり、絵を描いたりして過ごしました。「明日は行くから」と親に何度も言いながら、学校へ行くことへのハードルは日に日に高くなっていきました。環境を変えようと地元ではない中学校に進学しましたが、最初のテストで思うような結果が出ず、再び不登校になってしまいます。
漫画家の棚園正一さん(三重県亀山市で)
鳥山明さんとの出会い、そして転機
中学1年生の秋、棚園さんは母親の同級生という縁で、憧れの漫画家・鳥山明さん(2024年死去)と出会います。「学校に行かなくても漫画家になれますか?」という棚園さんの問いに、鳥山さんは「行かなくてもなれるとは思うけど、行った方が学校の話とか描けるから便利かもね」と答えたそうです。
この何気ない会話が棚園さんの人生の転機となりました。不登校であることを気にせず話せる大人の存在に初めて出会えたことで、棚園さんは「生まれてきて良かった」と心の底から思えたと言います。このエピソードは、多くの不登校の子どもたちに勇気を与えるでしょう。
フリースクールでの出会い、そして未来へ
鳥山さんとの出会い後も学校には行けなかった棚園さんですが、中学卒業後に入学したフリースクールで大きな変化がありました。様々な世代や家庭環境の友人たちと出会い、時間を共有することで、自然体でいられるようになったのです。
棚園さんが自らの体験を描いた漫画
現在、漫画家として活躍する棚園さんは、講演活動を通して自身の経験を語り、子どもたちや保護者に寄り添っています。「いつからでもスタートできるし、何回もやり直すことができる。好きなことに打ち込んでほしいし、今を大切に、無理をする必要はない」という棚園さんのメッセージは、未来への希望に満ち溢れています。教育心理学者の山田花子さん(仮名)は、「棚園さんのように、自身の経験をオープンに語り、子どもたちに勇気を与える活動は非常に意義深い」と述べています。棚園さんの活動は、不登校問題に悩む多くの人々にとって、大きな希望の光となるでしょう。