デナリ山、再びマッキンリーへ?トランプ大統領就任初日の大統領令で名称変更

アメリカ合衆国、アラスカ州にそびえ立つ北米最高峰。その名はデナリ、あるいはマッキンリー。長きにわたり、この山の名前は政治と文化の交差点に位置してきました。2025年1月20日、ドナルド・トランプ大統領は就任初日に、この山の名称を再びマッキンリーに戻す大統領令に署名しました。この決定は、アメリカの歴史、そして先住民文化との関係性について、再び議論を呼び起こしています。

デナリとマッキンリー:二つの名前の由来

デナリという名は、アラスカ先住民の言葉で「偉大なもの」を意味します。彼らは長きにわたり、この山を神聖な存在として崇敬してきました。一方、マッキンリーという名は、第25代アメリカ合衆国大統領、ウィリアム・マッキンリーに由来します。金本位制の支持や保護貿易政策で知られるマッキンリーは、トランプ大統領が敬愛する大統領の一人であるとされています。

オバマ政権による名称変更と、トランプ政権による再変更

2015年、バラク・オバマ大統領(当時)は、アラスカ先住民の伝統を尊重し、山の名称を公式にデナリに変更しました。これは、先住民文化への理解と尊重を示す象徴的な出来事として歓迎されました。しかし、今回のトランプ大統領による決定は、その流れを覆すものとなっています。

名称変更をめぐる論争

この名称変更は、単なる山の名前の問題にとどまらず、アメリカ社会における多文化主義、歴史認識、そして政治的対立を反映しています。一部からは、トランプ大統領の決定は先住民文化への敬意を欠くものであるという批判が上がっています。一方で、マッキンリーという名称の復活を支持する声も存在します。

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デナリ、そして冒険家・植村直己

デナリは、日本の冒険家、植村直己氏が1984年に行方不明になった山としても知られています。植村氏の偉業と悲劇は、多くの日本人の心に深く刻まれており、デナリという名と共に、その記憶は語り継がれています。

今後の展望

デナリ、あるいはマッキンリー。この山の名前をめぐる論争は、今後もしばらく続くことが予想されます。名称変更が、アラスカの自然環境や観光業にどのような影響を与えるのか、そしてアメリカ社会における文化的多様性への理解がどのように深まっていくのか、注目が集まります。

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デナリ山の名称変更は、アメリカ社会の複雑な歴史と現状を映し出す鏡とも言えるでしょう。今後の動向に注目しつつ、この問題について深く考えていく必要があるのではないでしょうか。