近年のスマートフォン普及に伴い、飲食店や書店で料理や商品の写真を気軽に撮影する人が増えています。しかし、無断撮影は思わぬトラブルに発展する可能性も。そこで今回は、どこまでが合法で、どこからが違法になるのか、スマホ撮影の法的側面を分かりやすく解説します。
飲食店での撮影:許可を得ることが重要
お店の料理を写真に収めたい気持ちは分かりますが、飲食店には「施設管理権」が存在します。民法206条に基づき、店舗オーナーや管理者は、施設内での撮影を禁止する権利を有しています。「撮影禁止」の掲示がなくても、店側が禁止と決めていれば撮影はNG。トラブルを避けるためにも、撮影前に店員さんに確認しましょう。
alt="美味しそうな料理の写真。スマホで撮影している様子"
許可なく撮影を続けると、最悪の場合「建造物侵入罪」で逮捕される可能性も。美味しい料理を前に、法的トラブルに巻き込まれるのは避けたいですよね。
書店での撮影:著作権に注意
書籍や雑誌の撮影にも注意が必要です。表紙のみの撮影は問題ありませんが、中身を1ページ以上撮影すると著作権侵害となる可能性があります。また、洋服の試着写真をSNSにアップロードする行為も、著作権侵害に該当するケースがあるので気を付けましょう。
料理の盛り付けに関しては、よほど独創的でない限り著作権は認められません。ただし、前述の通り、飲食店には施設管理権がありますので、撮影前に店員さんに確認するのがマナーと言えるでしょう。
公道からの撮影:原則OKだが配慮も必要
公道から窓越しに店内を撮影する場合、施設管理権は及びません。ただし、お客さんの顔が写り込むとプライバシー侵害になる可能性があるので注意が必要です。
最近では、住所非公開の隠れ家風店舗が増えており、「店の場所がわかる写真のSNS投稿禁止」をルールとしているお店も。公道からの撮影自体は違法ではありませんが、お店の営業に支障が出るような写真の公開は、損害賠償請求の対象となる可能性もゼロではありません。
alt="お店の外観。公道からの撮影は可能だが、配慮が必要"
例えば、飲食店経営コンサルタントの山田一郎氏は、「お店の雰囲気を守るためにも、公道からの撮影は慎重に行うべきです。特に、住所非公開のお店は、お客様のプライバシー保護の観点からも、配慮が求められます」と述べています。
まとめ:マナーと法律を守って楽しい撮影を
スマホ撮影は便利なツールですが、使い方によってはトラブルに発展する可能性も。撮影前にルールを確認し、マナーを守って楽しい時間を過ごしましょう。
「みずほ中央法律事務所」の三平聡史弁護士によると、撮影に関するトラブルは増加傾向にあるとのこと。安心して写真撮影を楽しむためにも、今回ご紹介した内容を参考に、法律とマナーを意識した行動を心がけましょう。