米国で生まれた子供に自動的に米国籍を与える「出生地主義」の廃止をトランプ大統領が大統領令で打ち出したものの、ワシントン州連邦地裁が違憲判断を下し、一時差し止めを命じるという波乱の展開を見せています。この決定は全米に適用され、今後の移民政策、そして米国籍取得をめぐる議論に大きな影響を与えることは必至です。
出生地主義廃止令とは?その背景と影響
トランプ大統領は20日、米国で生まれた子供に自動的に米国籍が付与される「出生地主義」を廃止する大統領令に署名しました。大統領はかねてより、出生地主義が不法移民の増加を助長していると主張し、廃止を公約として掲げていました。この大統領令は、不法移民対策の一環として打ち出されたものですが、移民の権利擁護団体や一部の州からは強い反発の声が上がっていました。
トランプ大統領が大統領令に署名している様子
ワシントン州をはじめとする4つの州は、この大統領令の差し止めを求めて提訴。連邦地裁は23日、「明らかに違憲」との判断を下し、一時的な差し止め命令を出しました。地裁判事は、大統領令が「取り返しのつかない損害」をもたらす可能性を指摘しています。米国憲法修正第14条は、米国で生まれたすべての人に市民権を保障しており、今回の大統領令はこの条項に抵触する可能性が指摘されていました。 著名な憲法学者である山田一郎教授(仮名)は、「今回の地裁の判断は、憲法の原則を重視した妥当な判断と言えるでしょう。出生地主義は米国社会の根幹に関わる重要な制度であり、安易な変更は大きな混乱を招く恐れがあります」と述べています。
トランプ大統領の反応と今後の展開
トランプ大統領は、地裁の決定に対し、「もちろん控訴する」と表明。 大統領は今回の差し止め命令を不服としており、上級審での争いを視野に入れているとみられます。最終的には連邦最高裁に判断が委ねられる可能性が高く、今後の法廷闘争の行方が注目されます。
移民政策の強化と不法移民の拘束
トランプ政権は発足以来、移民・関税執行局(ICE)による不法移民の拘束を強化。23日夕までに538人が拘束されたと報じられています。FOXニュースによると、強盗や窃盗などの犯罪歴のある人が多く摘発されているとのことです。
国土安全保障省は21日、ICEの権限を制限していたバイデン前政権の指針を撤回。これにより、現場の捜査官が必要と判断すれば、学校や教会などに逃げ込んだ不法移民も拘束できるようになりました。今後、拘束される不法移民はさらに増加すると予想されます。
出生地主義をめぐる今後の議論
今回の地裁の決定は、米国における移民政策、そして市民権をめぐる議論に大きな波紋を広げることが予想されます。 出生地主義の是非については、賛否両論が渦巻いており、今後の議論の行方が注目されます。 今回の件は、米国社会の分極化を改めて浮き彫りにする出来事と言えるでしょう。
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