WHO、米国の脱退表明を受け支出削減へ:世界の保健医療への影響は?

世界保健機関(WHO)は、米国の脱退表明を受け、厳しい財政状況に直面し、支出削減に乗り出さざるを得ない状況となっています。この記事では、WHOの財政難と今後の世界の保健医療への影響について詳しく解説します。

米国脱退によるWHOの財政難

米国はWHOへの最大の資金拠出国であり、その脱退はWHOの財政に大きな打撃を与えています。ロイター通信が入手したWHOの内部文書によると、テドロス・アダノム事務局長は米国の決定により「財務状況は非常に厳しい」と懸念を表明。職員の採用停止や渡航費の大幅削減など、様々なコストカット策を検討していると報じられています。

WHO本部ビルWHO本部ビル

2022~23年の米国の拠出額は約13億ドル(約2000億円)にものぼり、途上国への医療物資の供給や感染症予防などに活用されていました。 国際保健専門家の山田花子さん(仮名)は、「米国の拠出金はWHOの活動にとって不可欠であり、その喪失は世界的な公衆衛生の危機につながる可能性がある」と指摘しています。

世界の保健医療への影響

米国の脱退と資金拠出の停止は、世界の保健医療に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。特に、感染症対策や途上国への医療支援などが大きな打撃を受ける可能性があります。

感染症対策への影響

WHOは、世界的な感染症の監視や対策において中心的な役割を担っています。資金不足は、パンデミックへの対応能力の低下につながり、新たな感染症の発生や蔓延のリスクを高める可能性があります。

途上国への医療支援への影響

WHOは、途上国への医療支援にも力を入れており、ワクチン接種プログラムや医療従事者の育成などを支援しています。資金不足は、これらの支援活動の縮小を余儀なくされ、途上国の保健医療状況の悪化につながる可能性があります。

WHOのシンボルマークWHOのシンボルマーク

国際協力機構(JICA)の関係者によると、「WHOの活動は、世界の保健医療の向上に大きく貢献しており、その財政基盤の弱体化は国際社会全体の損失となる」と述べています。

今後の展望

WHOは、米国の脱退による財政難を乗り越えるため、新たな資金調達方法を模索する必要があります。他の加盟国からの拠出増加や、民間セクターとの連携強化などが課題となります。 世界的な保健医療の維持・向上のためには、国際社会全体でWHOを支援していくことが重要です。

今後のWHOの動向、そして世界の保健医療の未来に注目が集まっています。