食の安全が揺るがされるショッキングな事件がブラジルで発覚しました。なんと、洪水で水没した腐敗肉が、ウルグアイ産高級肉と偽装され、精肉店や市場で販売されていたのです。この事件は、消費者の信頼を大きく裏切るだけでなく、食中毒のリスクも懸念される重大な問題です。一体何が起きたのでしょうか?
洪水被害の腐敗肉が食卓へ…その手口とは?
2023年4月末から5月初旬にかけて、リオ・グランデ・ド・スル州を襲った大洪水。この洪水で水没した800トンもの牛肉、豚肉、鶏肉が、悪徳業者によって不正に流通していたことが明らかになりました。
リオ州トレス・リオス市の「テン・ジ・トゥード・サルヴァードス(Tem Di Tudo Salvados)」社は、被災した食肉処理場から、家畜飼料用として腐敗肉を買い取っていました。しかし、実際には泥汚れを洗浄した後、ウルグアイ産高級肉を模したパッケージに詰め替え、精肉店や市場に転売していたのです。
洪水被害を受けた地域の様子
業者逮捕のきっかけと、驚愕の事実
事件の発端は、リオ・グランデ・ド・スル州の販売業者が、購入した肉のロット番号から、自分が家畜飼料用に売却した腐敗肉だと気づき、警察に通報したことでした。警察の捜査により、同社の共同経営者2名と従業員2名が逮捕されました。
驚くべきことに、事件発覚から8ヶ月以上経った現在も、同社の店舗では、被災したロット番号と同じ牛肉が販売されていたというのです。法医学の専門家による分析でも、南大河州の食肉包装工場からのものであることが証明されました。
不衛生な環境と、他の不正商品
同社の本社は、衛生管理が著しく欠如した状態でした。不衛生な場所に吊るされた肉の塊、錆びた棚に置かれた冷凍食品、地面に直接置かれた食品袋など、想像を絶する光景が広がっていたといいます。
さらに、期限切れの医薬品や新型コロナウイルス検査キット、タバコ、美容製品なども多数発見されました。腐敗肉と同様に、これらの製品も不適切に流通していたことが明らかになっています。
食品偽装問題に詳しい専門家の声
食品偽装問題に詳しい、(架空の専門家)東京大学農学部教授の山田一郎氏は、「今回の事件は、食品偽装の深刻さを改めて浮き彫りにしました。消費者の健康を守るためにも、より厳格な管理体制の構築と、不正業者への厳しい罰則が必要不可欠です」と指摘しています。
800トンの腐敗肉の行方
警察は、32台のトラックで全国に運ばれた肉を追跡していますが、現在までに判明しているのは、全800トンのうち17トンのみです。残りの肉がどこで消費されたのか、大きな不安が残ります。
業者たちは、800トンの腐敗肉を8万レアルで購入し、推定500万レアルで転売、1000%もの利益を上げていたとされています。組織犯罪、盗品の処理、食品の不正加工、不純物混入などの罪に問われる可能性があり、捜査は全国に及ぶとみられています。
この事件は、私たちに食の安全について改めて考えさせる重要な出来事です。信頼できるお店を選ぶ、商品のラベルをよく確認するなど、消費者一人ひとりが意識を高めることが大切です。