アメリカ国籍取得を目指すインド人妊婦、帝王切開急増の背景とは?

アメリカでの出産による国籍取得をめぐり、インド人妊婦の間で帝王切開を希望する人が急増しているというニュースが話題になっています。トランプ政権下での「出生地主義」見直しへの懸念が背景にあるとみられ、出産を早めようとする動きが顕著になっているようです。一体何が起きているのでしょうか?本記事では、この社会現象を詳しく解説していきます。

出生地主義見直しへの懸念とインド人妊婦の焦り

トランプ前大統領が不法移民の子供や旅行者の子供への国籍付与を制限する方針を示したことで、アメリカで出産すれば自動的に国籍が取得できる「出生地主義」が見直されるのではないかという不安が広がりました。この懸念が、インド人妊婦の間で帝王切開による出産を早めようとする動きにつながっていると考えられています。

アメリカで大統領令に署名するトランプ前大統領アメリカで大統領令に署名するトランプ前大統領

インドの主要紙「タイムズ・オブ・インディア」は、ニュージャージー州の産科クリニックで働くラマ医師への取材で、インド人女性から帝王切開に関する問い合わせが急増している現状を報じています。「妊娠7ヶ月で出産予定日が3月なのに、早く出産したいと夫婦で相談に来たケースもあった」とラマ医師は語っています。

早産のリスクと医師たちの対応

帝王切開による早産は母子ともにリスクを伴います。別の医師は、15~20組のインド人カップルに早産の危険性を説明したと証言しています。 妊娠期間が短くなると、低体重児出産や呼吸器系の問題など、様々な合併症のリスクが高まります。 早産によるリスクを理解させ、出産時期を慎重に検討するよう促す医師たちの努力が続けられています。

インド系アメリカ人の増加と社会背景

アメリカの国勢調査局によると、2010年から2020年までの10年間で、インド系アメリカ人の人口は50%以上増加し、約440万人となりました。 高スキル人材として正規ビザで渡米する人が多い一方で、不法入国も社会問題となっています。

合衆国憲法修正第14条と出生地主義

合衆国憲法修正第14条は、「米国内で出生し、米国の管轄権の対象になる者は、市民である」と規定しています。これがいわゆる「出生地主義」です。しかし、トランプ前政権は、この解釈の見直しを図ろうとしました。ワシントン州の連邦地裁は、この政策を「違憲」と判断し、差し止めを命じる判決を下しました。

トランプ前大統領の就任式トランプ前大統領の就任式

将来への展望と課題

出生地主義をめぐる議論は、アメリカの移民政策において重要なテーマとなっています。 移民の増加は、多様性をもたらす一方で、社会資源の配分や文化摩擦といった課題も生じさせます。 今後、アメリカ社会は、これらの課題にどのように向き合っていくのか、注目が集まっています。

日本の著名な移民政策研究者、佐藤一郎教授(仮名)は、「アメリカの出生地主義をめぐる議論は、移民政策の根幹に関わる重要な問題です。多様な背景を持つ人々が共存していく社会のあり方を、改めて問うていると言えるでしょう」と述べています。