ロシアで特殊詐欺被害が急増!プーチン大統領も危機感募らせる深刻な社会問題

ロシアでは、虚偽の電話やメールなどで金銭をだまし取る特殊詐欺の被害が急増し、深刻な社会問題となっています。ウクライナ侵攻後、「ロシア社会は団結した」とアピールしてきたプーチン大統領にとって、この事態は犯罪の蔓延を露呈する都合の悪い現実となっています。政権は巧妙化する犯行への対策に苦慮し、「犯人はウクライナ」と主張することで国民の不満をそらそうとしている現状も指摘されています。

ロシアにおける特殊詐欺被害の現状

ロシア中央銀行の統計によると、2022年の特殊詐欺被害額は約223億円でしたが、2023年には約249億円に増加。2024年は1月から9月までの時点で既に約283億円に達し、前年同期比で大幅に増加しています。

世論調査でも、2023年に「過去1年間に詐欺の試みに遭遇した」と回答した国民は91%に上り、前年の82%から9ポイントも上昇。また、「主な心配事」に「詐欺」を挙げる国民も2024年に急増しており、詐欺行為の蔓延が国民の不安を増大させていることが浮き彫りになっています。

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プーチン大統領の反応と政府の対策

プーチン大統領も2023年12月の年末記者会見でこの問題に言及し、「被害額が桁外れだ」と危機感を表明。「不審な電話には出ない、すぐ切る」よう国民に呼びかけました。

政府も対策に乗り出しており、2023年7月には詐欺被害を減らすための法律を施行。銀行は顧客からの送金依頼に対し、受取人口座が詐欺に関与した疑いがある場合は送金を保留することが義務付けられました。同年12月には、特殊詐欺の温床とされるIP電話から固定電話や携帯電話への発信を禁止する措置も実施。さらに、詐欺の疑いのある電話を自動でブロックするシステムも導入されています。

巧妙化する詐欺の手口と国民への影響

しかし、詐欺師の手口も巧妙化しています。従来のオレオレ詐欺や還元金詐欺だけでなく、SNSで個人情報を収集して相手を信用させる手口や、AIを使ったディープフェイク技術で偽の音声や映像を作成するなど、高度な技術を駆使した詐欺も増加しています。

専門家の見解

ロシアのセキュリティ専門家、イワン・ペトロフ氏(仮名)は、「詐欺の手口は常に進化しており、国民は常に警戒を怠らないことが重要だ」と指摘。「特に、SNSやオンライン上での個人情報の取り扱いには十分注意し、不審な連絡には決して応じないことが大切だ」と警鐘を鳴らしています。

今後の展望

ロシア政府は更なる対策強化を表明していますが、巧妙化する詐欺の手口への対応は容易ではありません。国民一人ひとりが詐欺への知識を深め、警戒心を高めることが被害防止に繋がるといえるでしょう。