今年、韓国の大学生が最も就職したいと考える企業ランキングにおいて、SKハイニックスが異例の1位に輝きました。昨年の9位から一気に首位へ躍進したこの結果は、半導体市場における同社の目覚ましい業績と、従業員への手厚い報酬制度が背景にあると分析されています。就職選好度で長らくトップを維持してきたサムスン電子を上回る実績に加え、上半期には基本給の150%をインセンティブとして支給するなど、魅力的な待遇が学生たちの間で話題を呼んだことがこの急上昇につながったと見られています。
調査概要とSKハイニックスが選ばれた理由
2024年7月28日、就職ポータル「インクルト」が発表した「2025大学生希望就職企業」調査で、SKハイニックスが初の首位を獲得しました。この調査は韓国各地の大学生1176人を対象に実施され、今年で22年目を迎える権威あるものです。大学生がSKハイニックスを選んだ最大の理由は、「満足のいく給与と報償制度(67%)」でした。
韓国大学生の就職希望企業ランキング:SKハイニックスの急上昇と各社の給与・報償制度の重要性を示すグラフィック
HBM(広帯域メモリー)技術を武器に半導体市場で主導権を握るSKハイニックスの産業内での変革と、それに伴う破格の報償制度が相まって、学生たちの支持を集めたというのが一般的な分析です。特に、先端半導体分野でのリーダーシップが、安定した未来と高い報酬を求める学生たちのニーズと合致したと言えるでしょう。
給与・報償制度が就職先選定の鍵に
今回の調査では、就職選好度企業の2位から4位までにおいても、給与、報償、福利厚生が最大の理由として挙げられました。2位のCJ ENMでは「優れた福利厚生(42%)」、3位のサムスン電子では「満足のいく給与と報償制度(回答者の41%)」が最も多く、4位のネイバーも同様の傾向を示しました。これは、現代の学生が企業を選ぶ上で、単なるブランド力だけでなく、具体的な経済的メリットと従業員への還元を重視している現状を浮き彫りにしています。
IT企業の人気低迷とその背景
一方で、かつて「ネカラク配」(ネイバー、カカオ、ライン、クーパン、配達の民族)と称され、絶大な人気を誇ったIT企業各社は、ネイバーを含め全般的に順位が低下する傾向を見せました。この背景には、海外のグローバル企業と比較して、AI(人工知能)への転換が遅れているとの評価が影響していると分析されています。テクノロジーの進化が著しい時代において、先端技術への投資やイノベーションの遅れが、優秀な人材の獲得に影響を与えている可能性が示唆されます。今回の調査は、韓国国内の時価総額上位170社(持ち株会社・金融機関・公企業を除く)を対象に行われました。
韓国就職市場の新たな動向と今後の展望
今回の調査結果は、韓国の就職市場における新たな動向を示しています。かつてのITブームが一段落し、半導体産業のような実体経済を牽引する分野が学生の関心を強く集めていることが明確になりました。特に、高い給与と手厚い報償制度は、企業が優秀な人材を引きつけるための不可欠な要素となっています。今後も、各企業の業績と連動した報酬体系や、将来性のある技術分野への貢献が、韓国の大学生の就職先選択において重要な判断基準となるでしょう。
Source Link: https://news.yahoo.co.jp/articles/71fd7c3e647e6a27c2645aa59b1d88be7b69472d