磐田市、東新町団地。かつて「スラム」と呼ばれたこの場所で、日系ペルー人のACHAをリーダーとする多国籍HIPHOPグループ、GREEN KIDSが生まれ育った。彼らの音楽は、差別や貧困、そして疎外感に揺れる魂の叫びだ。この記事では、彼らが過ごした環境、音楽への情熱、そして未来への希望に迫る。
東新町団地、変わりゆく街の風景
かつてゴミが散乱し、喧嘩や警察沙汰が絶えなかったという東新町団地。1990年代、改正入管法により日系人の定住資格が認められ、磐田市の工場で働くために多くの南米出身者が来日した。最盛期には住民の8割が外国人という、まさに多文化共生の縮図だった。
ACHAは、「今は綺麗になったと言われる」と笑いながら話す。確かに、老朽化が進み住民は減ったものの、かつての荒れた雰囲気は薄れ、生活感が漂う静かな団地へと変化している。
東新町団地のGREEN KIDSメンバー
2DKの県営住宅、夢を育む場所
ACHAは、母親、姪、甥の4人で家賃1万8200円の2DKの県営住宅に暮らす。取材に訪れたリビングでは、既にGREEN KIDSのメンバーが酒盛りを始め、温かい空気に包まれていた。 狭いながらも、ここが彼らの創作の拠点であり、家族のような絆で結ばれた仲間との大切な時間を持つ場所なのだ。
音楽に込めた叫び、日本語ラップへのこだわり
GREEN KIDSの音楽は、日本語ラップにこだわり、彼らが経験した差別や貧困、疎外感を赤裸々に表現している。暴力や犯罪に明け暮れた過去を乗り越え、音楽を通して自分たちの存在を社会に訴えかける。
例えば、食糧支援団体「フードバンクふじのくに」のテーマソング「FOOD BANK」では、貧困に苦しむ人々の現状や支援の輪を広げることの大切さを力強く歌い上げている。
（架空の音楽評論家 山田太郎氏）「GREEN KIDSの音楽は、単なる社会問題の告発ではなく、厳しい現実の中でも希望を失わず、未来を切り開こうとする力強いメッセージが込められている。彼らの音楽は、多くの若者に共感と勇気を与えるだろう。」
未来への希望、音楽で世界を変える
ACHAは、「音楽を通して、自分たちのメッセージを世界に届けたい」と語る。 彼らの音楽は、日本社会における多文化共生、そして若者が抱える問題を浮き彫りにし、私たちに多くの問いを投げかけている。
取材を通して、GREEN KIDSは困難な環境の中でも、音楽という武器で未来を切り開こうとする強い意志を持つグループであると感じた。彼らが奏でる音楽は、きっと多くの人々の心に響き、社会を変える力となるだろう。
