[ad_1]
時代の変化に応じてビジネスモデルを変えられなかった企業は、円安、資源高、人件費の高騰などに見舞われ、たちまち資金繰りに窮することになり、様々な形での倒産が急増している。
日産を支えた最大の部品メーカーの危機! 再建に躓いた投資ファンド「KKR」の実力
60年にわたって「倒産」の現実を取材・分析しつづけてきた日本最高のエキスパート集団が、2021~2024年の最新の倒産事例をレポートした『なぜ倒産 運命の分かれ道』から連載形式で紹介する。
食品スーパー経営 キッチンストアー
栃木県足利市内を中心に食品スーパーを運営していた株式会社キッチンストアーは、2022年10月13日に宇都宮地裁足利支部より破産手続き開始決定を受けた。コロナ禍初期、行動制限に伴う内食需要の高まりから食品スーパーとドラッグストアは勝ち組と見られていた。しかし、大手スーパーや異業種との競争激化、行動制限緩和に伴う反動減に加え、食品価格の相次ぐ値上げによる買い控えなど地場スーパーは厳しい環境にさらされ、倒産や信用不安情報が増加している。
きめ細かなサービスで高齢者から支持
キッチンストアーは1940年に青果商として創業、61年3月に法人改組した。栃木県足利市および群馬県太田市など両毛地区にて、「キッチンストアー」の店名で地域密着型の食品スーパー5店舗を運営していた。高齢者や近隣住民の来店客が多く、高齢者や荷物の多い利用客には、レジから駐車場まで店員が荷物を運ぶなど小規模店舗のメリットを生かし、きめ細かなサービスを徹底。高齢者を中心に昔からの固定客の支持を得て、ピーク時には8店舗を運営し、92年5月期には年売上高約51億円を計上していた。
近年は総菜事業を強化するため、2019年12月にセントラルキッチン方式を導入し、足利市の本店2階に総菜センターを開設。「手づくりの総菜・弁当が安価でおいしい」との評判を集め、キッチンストアーの強みとなっていた。
大手スーパーの相次ぐ進出で超激戦区に
しかし、2008年以降、周辺に大型スーパーが相次いで進出。キッチンストアーが展開する5店舗から車で10分圏内の場所には、売場面積1500平方メートル超の大型スーパーが10店舗以上競合し、北関東で有名なスーパー超激戦区となっていた。キッチンストアーは売場面積が320~745平方メートルと小さいため、大型スーパーより商品アイテム数が少なく、顧客が他店に奪われるなど業績が悪化、赤字決算が続くようになっていた。
赤字計上でも特段対策を講じることはなく、過去の剰余金の蓄積で何とか耐え忍んでいたものの、それも限界となり、金融機関からの借り入れを行うことで事業を継続。しかし、金融機関からも徐々に借り入れができなくなり、2019年ごろからは役員からの借り入れで何とか賄ってきた。そのころからコンサルティング会社の支援を受け、各店舗の改装やクレジット・電子決済を導入するなど若者の集客を図った。しかし、思ったように売り上げに結びつかなかったどころか、設備投資費用などの借り入れによりますます資金繰りが悪化していった。
こうしたなか、2020年に入って国内でも新型コロナが発生。初年度の2020年度は行動制限などに伴う内食需要の高まりから、キッチンストアーにおいて売上高が前年を下回ったのは2店舗のみにとどまった。売り上げは増加したものの、コロナの第3波に見舞われた2021年2月ごろから4店舗で売り上げが急減。売場面積が小さいキッチンストアーの店舗は、コロナ感染を防ごうとする人や買い物頻度を減らして一度にまとめ買いしたい人に敬遠されるようになっていった。「この半年から1年は品揃えも悪く、店内もガラガラだった」(近隣住民)との言葉通り、大型スーパーに流れた顧客は戻らなかった。業績悪化に歯止めがかからないまま、2022年9月に取引先への支払いが困難となり、同月24日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。
[ad_2]
Source link