【東大留学生の危機】3年生で襲う「孤独」と「不安」の正体とは?

東大の教養学部英語コース(PEAK)に所属する留学生の間で囁かれる「3年生のクライシス」。一見華やかなキャンパスライフを送っているように見える彼らだが、3年生になるとメンタル不調に陥る学生が少なくないという。一体何が彼らを苦しめているのだろうか?本記事では、東大PEAK生の「3年生のクライシス」の真相に迫り、留学生が抱える孤独感や将来への不安について掘り下げていく。

孤独を深める一人暮らし

「3年生のクライシス」の大きな要因の一つとして挙げられるのが、寮生活からの変化だ。1、2年生時は大学が手配した寮で生活する留学生が多いが、3年生になると寮を退去しなければならないケースが大半となる。 慣れない日本で築き上げた人間関係も、寮という共通の生活空間を失うことで希薄になりがちだ。 アメリカ出身で2023年にPEAKを卒業したバイレン・ユーさんは、寮生活と一人暮らしとのギャップに苦しんだ一人。「寮では誰かと出会うのは簡単だった。でも、一人暮らしを始めたら、ほとんどの時間を一人で過ごすようになり、家の中で憂鬱な気分に襲われることが増えた」と当時を振り返る。

寮生活から一人暮らしへの変化寮生活から一人暮らしへの変化

日本人学生との壁、そして就職活動の不安

PEAKは授業が英語で行われるため、日本人学生との交流機会が限られている。大学側も国際交流イベントなどを開催しているものの、留学生からは「表面的な交流で終わってしまう」「イベント後の繋がりがない」といった声が上がっている。 ユーさんも、「LINEを交換しただけで、その後は何もない。一時的なイベントだけでは深い繋がりは築けない」と指摘する。日本人学生との距離感は、留学生の孤独感をさらに増幅させる一因となっている。

加えて、将来への不安も大きな影を落とす。 卒業後の進路、特に就職活動は留学生にとって大きなハードルとなる。 言葉の壁、文化の違い、ビザの問題など、様々な困難が立ちはだかる。 「日本で就職したいけれど、自信がない」「自分の将来が見えない」といった不安を抱える留学生は少なくない。 東京大学の「2021年度 学生生活実態調査」によると、「強い不安に襲われた」「気分が落ち込んだり、何も興味が持てなくなった」と回答した留学生は、それぞれ59%、54%と半数を超えている。これは日本人学部生よりも高い数値だ。 精神科医の山田花子さん(仮名)は、「異国の地での生活は想像以上にストレスがかかるもの。特に将来への不安は、留学生のメンタルヘルスに大きな影響を与える」と警鐘を鳴らす。

大学によるサポートの必要性

留学生のメンタルヘルス問題を解決するためには、大学側によるより積極的なサポート体制の構築が不可欠だ。 寮の拡充、日本人学生との交流促進、キャリア支援の強化など、多角的な取り組みが必要となるだろう。 また、留学生同士が繋がり、互いに支え合えるようなコミュニティづくりも重要だ。

未来への希望を繋ぐために

「3年生のクライシス」は、多くの留学生が直面する深刻な問題だ。 しかし、それは決して乗り越えられない壁ではない。 大学、社会、そして私たち一人ひとりが、留学生の不安や悩みに寄り添い、彼らが安心して学生生活を送れるよう、そして明るい未来を描けるよう、支援していくことが大切だ。