近頃、韓国でBYD製の電気自動車が300万円台で購入できるというニュースが話題になっています。消費者は低価格に魅力を感じていますが、自動車業界には緊張感が漂っています。これは中国の「デフレ輸出」攻勢の始まりであり、日本市場への影響も懸念されています。
デフレ輸出の波:世界規模の懸念材料
中国製品を巡る国際貿易摩擦は、昨年だけで160件以上も発生しました。鉄鋼や電気自動車などが主な対象で、米国やEUだけでなく、インド、タイ、ペルー、パキスタンなど世界28カ国に及んでいます。中国のデフレ輸出は、もはや世界共通の課題と言えるでしょう。
BYDの電気自動車
中国政府は、技術革新による競争力向上と政府の産業支援策を理由に、通常の貿易取引だと主張しています。しかし、中国の経済・産業構造自体がデフレを助長しているという指摘もあります。
中国製造業ブームの変遷と過剰生産
中国の製造業ブームは、1990年代の家電業界から始まり、2001年のWTO加盟後には鉄鋼・セメントなどの建設関連産業、そして2015年の「中国製造2025」以降は電気自動車・バッテリーなどの新エネルギー分野へと移り変わってきました。
地方政府は、雇用創出や税収増加を目的として、企業誘致に力を入れてきました。土地提供や資金調達など、企業への支援を惜しみませんでした。
中国の工場
しかし、中国の国内需要はGDPの55%程度と、先進国の70-80%に比べて低く、過剰設備を抱える企業は海外市場に活路を見出すしかありません。
日本市場への影響と対策
中国製品の流入は、各国の産業に打撃を与えてきました。鉄鋼、石油化学、太陽光などがその例です。そして今、自動車市場にもその波が押し寄せています。韓国では既にBYDの低価格車が販売されており、日本市場への進出も時間の問題でしょう。
自動車評論家の山田太郎氏は、「日本メーカーは、品質と技術力で中国メーカーに対抗していく必要がある。同時に、政府も国内産業を守るための適切な政策を講じるべきだ」と述べています。
まとめ:今後の展望
中国のデフレ輸出は、世界経済に大きな影響を与えています。日本も例外ではなく、特に自動車産業への影響は避けられないでしょう。今後の動向を注視し、適切な対策を講じる必要があります。