【減量専門医が教える】本気で痩せたいなら、まず捨てるべきダイエットの常識・ワースト1


● 「カロリー計算」は必要ない

 従来の減量法の多くは、摂取カロリーを減らすことを重視しています。これらは、摂取カロリーが消費カロリーより少なければ痩せられる、という考えに基づいた「カロリー・イン/カロリー・アウト」として知られるタイプの減量法です。

 しかし、この考え方には欠陥があります。なぜならそこには、人間の身体は自動車のエンジンや薪ストーブと同じ程度の単純な仕組みで動いているものだという前提があるからです。

 これは間違いです。車やストーブとは違い、身体は燃料が足りないと、生命を維持するためにホルモンを分泌して、その状況に必死に対処しようとするからです。

● 低カロリーが及ぼす身体への影響とは

 人類の何十万年にも及ぶ進化の中で、身体は食料不足など自らの生存を脅かすものへの対処策を生まれつき備えるように発達してきました。

 身体は、あなたがカロリー制限をしていることを知りません。身体にわかるのは、体内に食べ物が入ってこないことだけです。

 そして、このエネルギー不足を、自らの生存を脅かす事態と見なします。周りの環境に食料がなく、飢饉の前兆かもしれないと判断するのです。

 その結果、身体は「飢餓反応」と呼ばれるホルモン反応の連鎖を引き起こします。これは太古の昔から人体に備わっている、食物が手に入らなくても(少なくともすぐには)死なないように、長い時間、生命を維持するための反応です。

● 「カロリー計算ダイエット」は なぜうまくいかないのか?

 カロリーを制限して半飢餓状態になると、胃は空腹ホルモンのグレリンを分泌して、脳に「お腹が空いたから、食べ物を探して」というメッセージを送ります。このメッセージは、私たちが何かを食べてお腹を満たすまで繰り返し送信されます。

 空腹になると、人は物事に集中できなくなります。日中はイライラして、夜は寝つきにくくなります。

 低カロリー食を続けていると、胃を締めつけるような強い空腹感や、集中力の低下、苛立ち、睡眠の乱れなどを頻繁に感じるようになり、日常生活が不快になります。

 食べる量が少ないと、食後に腸から脳に送られる満腹感のメッセージも弱くなるため、満足感が得にくく、さらに不快さが増します。

 短期間であれば、何とか我慢を続けられるかもしれません。不快な空腹ホルモンの信号や食後の物足りなさを、しばらくのあいだ、意志の力でなんとか乗り越えることは可能でしょう。

 しかし、これらの不快なメッセージをいつまでも無視し続けることはできません。その結果、ダイエットは失敗してしまうのです。

 これは意志の弱さの問題ではありません。低カロリー食という「生存の脅威」から身体があなたを守ろうとしている、身体の正常な働きによるものなのです。

一方、本書が推奨する食べ物を食べると、腸から満腹ホルモンがしっかりと分泌されるようになります。「フル・ダイエット」は、その名の通りお腹がいっぱいになる食事ができるように設計されているのです。 (本稿は、『英国の専門医が教える 減量の方程式』を一部抜粋・編集したものです)

サイラ・ハミード/児島 修



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