13人が死亡、6千人以上が重軽症を負った平成7年のオウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で25年となるのを前に、事件で夫を亡くした高橋シズヱさん(73)らが9日、森雅子法相と面会し、オウム真理教の後継団体への立ち入り検査の厳正実施などを求める要望書を手渡した。森氏は「事件の被害者を忘れたことはない。みなさまの要望を受け止めてまいりたい」と述べた。
高橋さんら被害者遺族は事件が起きた3月に毎年、法相に事件の再発防止に関する要望を申し入れている。
一連の事件をめぐっては30年7月、元教祖の麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫(ちづお)=ら13人の死刑が執行された。要望書では、執行に関する情報の全面開示や、事件の教訓を世界に発信することなども求めた。
高橋さんらは森法相との面会後、中川清明(せいめい)公安調査庁長官とも面会。中川氏は「団体規制法に基づく観察処分を厳正に実施していきたい」と応じた。
公安庁によると、「アレフ」などの後継3団体は事件から四半世紀となる今も信徒を増やし、資産総額は令和元年10月末時点で約13億円。高橋さんは面会後の会見で「また何か事件を起こすのではないかという恐怖がある。団体が存続する限り観察処分下に置いてほしい」と話した。
被害者らは事件を振り返る集会を毎年3月に開き、今年で最後の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で中止になった。高橋さんは「被害者だけではなく、大学や行政や警察などいろいろな関係組織にも啓発活動を考えてほしい」と述べた。