ロシア国防省は、ウクライナとの国境付近で激しい戦闘が続くクルスク州において、ウクライナ軍が拠点としていたレベデフカ村を奪還したと発表しました。レベデフカ村は、ウクライナ側の重要拠点であるスジャから北西わずか10キロに位置し、戦略的に重要な地域です。この発表は、米国がウクライナへの機密情報提供を一時停止した直後に行われ、ウクライナ軍の苦戦を印象づけるものとなっています。
クルスク州で続く攻防戦
ロシア国防省は、8日から9日にかけての戦闘で、レベデフカ村を含むクルスク州の7つの集落を奪還したと主張しています。さらに、クルスク州に隣接するスムイ州でも1つの集落を制圧したとしており、攻勢を強めている様子が伺えます。ロシア軍のアラウジノフ軍事政治総局副局長は、クルスク州の全方位で「大規模な攻勢」を開始したと明言し、「ウクライナ軍は陣地を放棄し、ロシア軍は順調に前進している」と述べています。タス通信は情報筋の話として、この2日間で数十人のウクライナ兵が投降したと伝えています。
ロシアとウクライナの国旗
米国の情報提供停止が影響か?
米国は5日、ウクライナ軍に対し、ロシア軍の標的特定に利用していた機密情報の提供を一時停止すると発表しました。この措置はウクライナ側の作戦に深刻な影響を与えたとみられており、7日にはスジャ近郊でロシア軍が防衛線を突破したとウクライナメディアが報じています。ウクライナ軍の戦況悪化とロシア軍の攻勢強化の背景には、米国の情報提供停止が大きく影響している可能性が指摘されています。
ウクライナ軍、撤退を検討か?
英国のデーリー・テレグラフ紙は7日、ロシア軍が主要な補給線に進攻したため、クルスク州に駐留する約1万人のウクライナ兵が包囲される危機に直面していると報道しました。同紙は、ウクライナ軍関係者の話として、これ以上の損失を避けるために撤退を検討していると伝えています。
戦況の行方は
ロシア国防省の発表が事実であれば、ウクライナ軍は苦しい状況に追い込まれていると言えるでしょう。今後の戦況は予断を許さず、ウクライナ東部における戦闘の行方が注目されます。軍事専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「ウクライナ軍は厳しい選択を迫られている。撤退を選択すれば、ロシア軍の更なる進撃を許すことになりかねない。しかし、現状のまま戦闘を継続すれば、多大な犠牲を払うことになるだろう」と分析しています。