超低金利時代、「損をしたくない」の一点張りで銀行に貯金しているだけでは、お金はまったく増えない。自らの老後に向け、株式投資、投資信託、純金積立、iDeCo、NISAなどの資産形成に取り組んでいる著者が語る「おひとりさま」のマネー活用法とは――。本稿は、きんの『54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
● お金を「使わない」 ではなく「賢く使いたい」
前の会社の退職時、有給休暇が20日近く残っていたので、これからの人生に役に立つと考えてFP3級の資格試験に挑戦しました。実益のある勉強は楽しいもの。マンション売買、保険、相続、手続きすればもらえるお金など、「知っていたらもっと賢くラクに生きられたのに」と思う内容で、ライフプランの作成や資産形成法も学べました。
参考書と古本屋で購入した過去の問題集で独学し、紆余曲折の人生の中ですでに知っていたことも多かったので、一発合格。自分の人生経験は無駄ではなかったと思えました。このときFPの勉強をしたことで、自分にとってのお金の意味や付き合い方が変わりました。
おひとりさまですし、収入も多くはないので、なるべく節約してお金は貯めたい。でも節約は手段であって、目的ではありません。目的は、自分なりの豊かな生活を手に入れること。だから、手持ちのお金をどう使ったら自分なりに楽しく満足して暮らせるのか、試行錯誤するのが好きです。
3000円休日や、300円弁当の発想もそこから生まれました。お金を「使わないようにする」のではなく「賢く使いたい」。そんなふうにポジティブな感情で行動しているから、少ないお金でもご機嫌に暮らせているのだと思います。
「お金を上手に使う」には、投資も含まれます。この超低金利時代、銀行に預けているだけではお金は増えませんし、私ひとりの労働力では収入にも限界が。お金に上手に働いてもらうため、自分の頭で考え、学び、選択をする。
今でこそ株式投資、投資信託、純金積立、iDeCo、NISAなどを資産形成に取り入れている私ですが、始めるまでにはずいぶん悩みました。やってみて思うのは、もっと早くやればよかったということ。迷っている方がいたら「なにもしないことにもリスクはあるよ」と伝えたいです。
● 現金多めの分散投資で リスクを減らし“いざ”に備える
下は2021年の私の金融資産内訳。投資信託、株、保険や年金がだいたい均等に20%ずつ。残りの40%は現金で保有しています。現金比率が多めなのは、母のこともあり、突然まとまったお金が必要になる場合に備えているからです。
投資を始めたのは35歳のころ。家庭を持って友人との飲み会が減り、多少時間とお金に融通が利くようになったので、無料の金融セミナーや本で勉強しました。
意を決してネット証券口座を開設し、最初に5万円程度の株を購入したところ、銀行に預けるよりも増えたのです。現在は、5〜10年以内で必要になるお金は取りくずしやすい定期預金などの預貯金にし、老後に必要なお金は株や投資信託、NISA、iDeCo、貯蓄型保険に投資しています。